【4月25日 東方新報】中国の主要都市における不動産市場は、下落から安定への転換が一段と進んでいる。

 中国国家統計局が4月16日に発表した「70都市における商品住宅の販売価格動向」によると、2025年3月の一線都市(北京市・上海市・広州市<Guangzhou>・深セン市<Shenzhen>)における新築住宅の販売価格は前月比で0.1%上昇し、前月と同じ伸び幅だった。昨年11月に一線都市の新築住宅価格が下げ止まりを見せて以降、4か月連続で前月比プラスが続いている。また、3月の一線都市の中古住宅価格は、前月の0.1%下落から0.2%上昇に転じた。

 二線・三線都市における価格下落も、全体的に緩やかになっている。3月の二線都市の新築住宅価格は前月比横ばいで、中古住宅は0.2%下落したが、下げ幅は前月より0.2ポイント縮小した。三線都市では新築が0.2%、中古が0.3%下落したが、いずれも前月より0.1ポイント下げ幅が縮小した。

 また、3月には新築住宅価格が前月より上昇した都市は70都市中24都市で、前月より6都市増加した。中古住宅価格が上昇した都市も10都市で、前月から7都市増えている。

 広東省住宅政策研究センターの主席研究員・李宇嘉(Li Yujia)氏は、「不動産市場の安定化の土台が強まりつつある」と指摘している。3月には上海・杭州(Hangzhou)・寧波(Ningbo)などで新築住宅の価格上昇が顕著で、杭州・北京・上海・深センなどの都市では中古住宅も前月比で上昇した。特に一線都市を中心とした価格の持ち直し傾向が顕著となっている。

 李氏はまた、こうした都市ではこれまで人口の流入が多く、数年前まで価格が高止まりしていたことで購買力の発揮が抑えられていた一方、近年の価格調整によって多くの人が様子見に転じ、結果として実需が蓄積されてきたと分析している。さらに、これらの都市は常住人口も多く、既存住民の住環境改善需要も大きい。近年では購入条件の緩和やコストの引き下げなどの政策も相まって、需要の顕在化が進んでいるという。

 また、最近では中古住宅市場の取引も活発化している。58安居客研究院の院長・張波(Zhang Bo)氏は、「中古住宅の取引比率が上昇し続けている」と指摘。同機関の統計では、2025年第1四半期の中古住宅の取引比率は65%に達し、2024年からさらに4.7ポイント上昇。とくに一線都市での比率は70.5%と最も高かったとしている。(c)東方新報/AFPBB News