【4月28日 Peopleʼs Daily】最近の中国では、多くの人たちが1日を次のように過ごしているかもしれない。

 朝、携帯電話を1回クリックして朝食のデリバリーを注文する。仕事ではいわゆる「バイクメッセンジャー便」で書類を送達する。退勤前には「代行サービス」を利用して、レストランの予約番号を手に入れる。「テイクアウトフードの配達」から「あらゆるものの配達」まで、即時配達型の物流サービスは日常生活のあらゆるところに浸透している。

 便利な生活の背後には、中国の即時配達業界の急速な成長がある。データによると、2023年には中国の即時配達の注文数は420億件に達し、利用者は延べ7億人を超えた。また、24年の注文数は480億件を超えると予想されている(現在データ集計待ち)。

 ランチタイムやディナータイムのピーク時間帯には、レストランとオフィスビルを繰り返し往復し、その途中にわずかなヒマを見つけて、お客から注文された花や緊急の荷物を配達する。

 90年代生まれの畢研文(Bi Yanwen)さんは、北京市の朝陽区(Chaoyang)の街角で活躍している。彼は「毎日、すぐに給料がもらえるし、自分の仕事の成果が目に見える」と今の仕事に満足している。

 畢さんと同様に、明るい制服を身にまとい、ヘルメットをかぶり、電動バイクで街中や路地を走り回る何千人もの即配便の配達員たちは、今や都市の「動く風景」となっている。

 即時配達サービスは、従来の貨物配送とは違い、中継はせず、ユーザーのニーズに即時に応える「ドアツードア」の迅速な配達で、物流分野に新たな可能性を開くと期待されている。

 13年にはフードデリバリーアプリ「美団外売(Meituan Waimai)」が正式に立ち上がり、14年には即時配送プラットフォーム「達達(Dada)」やフードデリバリー「餐匯(Canghui)」など多くの企業が設立され、19年には「蜂鳥即配(Fengniao Jipei)」や「順豊同城急送(SF CITYRUSH)」などの専門分野の企業が相次いで独立を果たした。その後も中国では「即時物流プラットフォーム」が増加し続け、即時配達ビジネスの加速化に貢献している。

 消費者の生活ペースの加速に伴い、即時配達はフードデリバリーから多様なカテゴリーへと発展を続けている。生鮮食品直接配達やギフトの当日配達から、行列の代行や代理署名まで、即時配達サービスの利用シーンはますます多様化し、その境界線は拡大し続けている。

「あらゆるものが自宅に届く」という配送サービスの人気上昇の裏で、より多くの中小企業が新規受注を増やし収益を増加させている。

 福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)の海鮮商店「上街弟(Shangjiedi)」は「順豊同城急送」の緊急配送サービスと連携し、オンライン・ライブ販売で注文を受けた商品の即時配送を実現した。その結果、注文量は月ごとに増加し、ピーク時には、毎月オンラインで百万元(約2062万円)以上の売り上げになったと紹介している。

 即時配送システムを基盤とする「即時小売」という新たなビジネスモデルは、消費の促進に強いエネルギーを注入している。商務部の国際貿易経済合作研究院の報告によると、18年以降、即時小売業界の年間平均成長率は50パーセントを超え、23年には6500億元(約13兆4030億円)の売上額に達し、前年比で30パーセント近く増加した。そして30年には2兆元(約41兆2400億円)を超えると予想している。

「即時配達」は社会に多くの柔軟な雇用も生み出している。2020年には「オンライン配達員」が国家職業分類目録に組み入れられ、正式に新職業となった。関連報告によると、配達員の平均月収は7000元(約14万4340円)近くに達している。美団のプラットフォームでは、配達員の数は19年の399万人から23年には745万人に増加し、年平均の増加率は2桁となっている。

 国家郵政局発展研究センター産業経済研究部の王岳含(Wang Yuehan)主任は「オンライン供給の豊富さの継続的な拡大と物流インフラの成熟化に伴い、即時配達は『15分生活圏』の構築と商品流通の効率化の面でより重要な役割を果たすだろう」と見ている。

 わずか数年で即時配達はどうして急速に勢いづき、中国の物流分野の重要な一部となったのだろうか?

 需要面から見ると、中国の都市化レベルが絶えず向上し、新しい消費の主力である若い世代が便利でスピーディーな消費体験を好むことが、即時配達市場の繁栄と発展の重要な原因である。

 供給面では、アルゴリズム技術がくり返しアップグレードされることで、配達会社はさらに多くの注文に対応できるようになった。

 美団研究院の厲基巍(Li Jiwei)執行院長は「ビッグデータと人工知能技術の活用で、即時配達プラットフォームは、加盟店、消費者、配達員を正確にマッチングさせる『多人数・多地点リアルタイムスケジューリングシステム』を構築した。これにより わずか0.55ミリ秒で最適なルートを割り出し、秩序正しく効率的に配達できるようになった。関連するインフラが日増しに成熟していることは、この業界の成長にさらなる可能性をもたらしている」と説明する。

 広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)の石岩人民病院(Shiyan People's Hospital)では「順豊速運(SF Express)」のドローン配送サービス「豊翼物流無人机」を使用した血液輸送で、配送時間が従来の120分から25分に短縮され、緊急時に適切に対応できるようになった。

「順豊速運」は、「即時配達」の新しいモデルとしてドローンを加えることで、従来の地上配達ネットワークが地上と空中の統合配達ネットワークへと広がり、より効率的で柔軟な配達ソリューションをユーザーに提供できるようになると強調している。

「今後、新たな都市化の加速と消費者の生活水準の向上に伴い、即時配達にはまだまだ宏大な発展空間が用意されている」、美団研究院の厲院長はこのように見ている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews