【4月24日 東方新報】中国の新エネルギー車から国産コスメまで、近年「国貨(国産品)」が相次いで注目を集めている。その背景には、中国伝統文化の奥深さだけでなく、文化への自信、さらには新時代の技術革新と文化産業の積み重ねがある。

 中国香料香精化粧品工業協会のデータによると、2024年の中国化粧品市場規模は1兆738.22億元(約20兆932億円)に達し、前年比2.80パーセントの成長を記録。そのうち、国産ブランドのシェアは55.2パーセントに上った。

「95後(1995年以降生まれ)」の沈鑭(Shen Lan)さんは、「今使っている化粧品はすべて国産ブランド」と話す。彼女にとって国産コスメの魅力は「使いやすく、コスパがいい」こと。彼女のように国産ブランドを愛用するZ世代の若者は年々増えている。

 2025年に開催された第2回健康美と美容産業の高品質発展会議にて、中国香料香精化粧品工業協会の産業研究センター所長・姚永斌(Yao Yongbin)氏は取材に対し、「国産コスメの台頭は『文化的自信』に大きく起因している」と語った。

 現在の国産コスメは、品質の高さと洗練されたパッケージに加え、中国伝統文化を取り入れたデザインが魅力となっている。毛戈平(Maogeping)、花西子(Florasis)といったブランドは、「国潮(中国伝統の要素を取り入れた国産品)の波をけん引し、消費者と伝統文化との架け橋になっている。

 姚氏は、国産コスメがさらに発展していくためには、企業の研究開発投資の拡大が不可欠だと提言。また、ブランド価値の強化とグリーンな成長戦略の推進も必要であり、たとえば浙江省では地元のIP(知的財産)と連携してブランド力を高めることもできると指摘した。

 インタビューに応じた一部の企業も、ECプラットフォーム(電子商取引)の台頭が国産コスメの成長を後押ししたと認めながらも、 その一方で「成長の悩み」もあると明かす。浙江省のある化粧品企業は「業界の参入基準をもっと厳しくしてほしい」と訴える。というのも、最近ではマーケティングと流量(アクセス)に強いブランドが、研究開発をせずにOEM生産だけで商品を売っているため、真剣に開発に取り組む企業にとって大きな打撃となっているという。

「国産コスメがより長く続くには、研究開発が土台となり、品質が要です。流行は一過性でも、研究開発は未来をつくります」。浙江省健康製品化粧品業界協会の会長・張艶(Zhang Yan)氏は、「健康と美容産業が高品質な発展を遂げるには、『新たな生産力』の育成が鍵となる」とし、その推進力は科学技術の革新にあると強調。産業全体を従来型からスマート化・デジタル化・グリーン化へとシフトさせていくべきだと語った。

 今回の「2025(第2回)健康美産業高品質発展大会」は、4月18日まで開催予定で、開幕式では2025年版「健康美産業・新たな生産力ランキング」も発表された。ランキングは、技術革新、社会的責任、業界リーダーシップなど複数の観点から、計14部門の賞が設けられている。(c)東方新報/AFPBB News