■ルックスマックスは形を変えた「インセル」

戦略対話研究所のアナリスト、シッダールト・ベンカタラマクリシュナン氏はAFPに、ルックスマックスのトレンドで「完璧な体と完璧な顔」を宣伝するインフルエンサーが活気づき、私腹を肥やしている例も多いと指摘。

こうしたインフルエンサーは、洗顔剤や「フェロモン香水」、中国製の偽ブランドの時計などを宣伝して報酬を得ているとみられている。

「(ルックスマックスは)男性の間で、男性中心主義者のミソジニー(女性憎悪、女性蔑視)と結び付き、有害な組み合わせを生んでいる」とベンカタラマクリシュナン氏は付け加えた。

ルックスマックスは、「不本意な独身者」を意味する「インセル」と呼ばれるネットコミュニティーに根ざしている。インセルは、ミソジニーがまん延しているネットのサブカルチャーの一つで、インセルの男性たちは、自身の恋愛の失敗を女性やフェミニズムのせいにする傾向がある。

英ポーツマス大学犯罪学・刑事司法学部の研究者、アンダ・ソレア氏は「TikTokでは、インセルの思想がルックスマックスに形を変え、再生されている」と指摘した。

ソレア氏は、インセルに触発されたTikTokアカウントが、ルックスマックスに焦点を当て、自己改善に関して口当たりの良い言葉を並べ、女性に対する憎悪発言を禁じる規制を逃れている事例を報告している。

「私たちは女性をジェンダーに基づく暴力から守ろうと考えているが、(ルックスマックスの危険に対して)青少年にも注意を払うべきだ」と警鐘を鳴らした。