【4月20日 Peopleʼs Daily】先日、新エネルギー車ブランド「極越(Jiyue)」が「崩壊寸前」だというニュースが流れた。その前には「高合(ハイファイ、HiPhi)」などのEV車ブランドの倒産もあった。

 これらの問題をどう見るか?中国の新エネ車はどこまで発展できるのだろうか?

 実際、一部の新エネ車メーカーの倒産や、ニューモデルが「中途半端な車」として市場で不発に終わるような事態は、この業界では避けては通れない「成長痛」だと言える。

 中国の新エネ車産業の辿ってきた道は、2つの「酷」で言い表せる。1つは「クールの酷(ku)」、もう1つは「残酷の酷」だ。

 まず「クール」について言えば、理由は明白だ。モデルの豊富さ、網羅する機能の多さ、生産能力の巨大さ、価格の優位性、それらは全て中国の新エネ車が世界で「最もクールだ」ということを示している。

 新エネ車の主なユーザーは90年代や2000年代以降生まれの世代であり、彼らはとてもクールで、新しい消費トレンドの「種を蒔き」、業界全体を「育んでいる」。

 一方で、「残酷」については、この業界は急速に成長してはいるものの、競争が熾烈で、利益率が低いという厳しい現実が存在する。ある大手の企業では、販売した車両一台あたりの利益が、わずか8000元(約16万4800円)に過ぎないという。

 また「成長の痛み」は業界内だけでなく、業界外にも及んでいる。EV車が人気を集める一方、ガソリン車は人気がない。充電ステーションが人気を集める一方で、ガソリンスタンドは人気がない。これが新エネ車をとりまく現状だ。
常に問題を伴っているが、悩みながらも成長は続けている。

 しかし、悩みは恐れるに足らない。産業発展の原動力は、往々にして初期の悩みから生まれるからだ。

 かつて中国の自動車産業は「(中国)市場を差し出して(外国メーカーから)技術を得る」というやり方に頼らざるを得なかった。それが今や、新エネ車の分野では、中国はグローバル市場をリードする全く別の道を歩んでいる。

 例えば、中国の太陽光発電産業は「原材料、設備、市場」の3つとも全てを海外に頼るという苦境を経験したが、今やモジュール生産の世界シェアが80パーセントを超えるまでになった。造船業も苦難のスタートを切ったが、今や3つの主要指標で15年連続世界一となっている。

 まさに「成長痛」がイノベーション主導の開発を余儀なくさせ、その結果として「成熟の甘美」を享受している。

 産業の持続的なアップグレードには、新しい問題を絶え間なく解決することが求められている。現在、新エネ車産業と太陽光発電産業の競争はますます激化しており、国内外でかつてないほどの課題に直面している。また造船業は、伝統的な造船強国に取り囲まれ、激しく競りかけられ、新たな技術的課題も次々と立ちはだかっている。

「苦悩」「解決」「新たな苦悩」「新たな解決」、この繰り返し運動が延々と続くという「矛盾の構造」が存在する。スパイラル型の成長の過程で、絶えず業界の回復力が試されながら、経済の活力が絶えず刺激を受けている。

「優勝劣敗」「満ち潮と引き潮」、悄然と撤退する企業がある一方で、障害を乗り越えて高みに達する企業もある。24年、老舗自動車メーカー「比亜迪汽車(BYD)」は新エネ車市場で世界一の「販売王者」となり、異業種から参入した「小米汽車(Xiaomi)」は年間目標を達成し、海外市場を積極的に開拓する「上海汽車集団(SAIC)」は100以上の国と地域で製品とサービスを提供している。知識と胆力を持ち、先見性のある企業群は、イノベーションを原動力として、新製品を次々と市場に送り出している。

 黒竜江省(Heilongjiang)北部の黒河市(Heihe)では「寒冷地車両テストフェスティバル」が大変な活況を呈していた。今回はテスト車両の70パーセントが新エネ車だった。この分野の質の高い発展は、この小さな国境の町に繁栄をもたらし、産業チェーンを生み出した。

 米国で自動車関係を専門にする記者・編集者のパトリック・ジョージ( Patrick・George)氏は、最近米国で開催された「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で中国の新エネ車を試乗し、「自動車と関連技術の業界の経営者、エンジニア、アナリストなど数十人から話を聞いたが、その多くが中国に『追いつく』という表現を使っていた」とレポートした。この「追いつく」という表現は、彼が予想していたよりも頻繁に数多く出ていたという。

 産業の発展は、人の成長に似ている。親たちはよくこんな心配をする。「子供はあっという間に成長して、すぐに服が着られなくなる。大きな服に買い替えても、すぐにまた買い替えなければならない」、国の発展もこれと同じだ。
中国は数十年で、先進国が数百年かけて成し遂げた工業化プロセスを完了させた。成長が速すぎる分だけ、悩みもまた減ることがない。

 改革から全面的な改革の深化、そしてさらなる全面的な改革へと進む中で、新たな問題を次々に解決しなければならず、まるで成長著しい子供に大きなシャツを次々に着せ替えるのと同じだ。

 中国は、新型工業化、情報化、都市化、農業の現代化を総合的に推進することで、様々な「成長痛」の解決を続けている真っ最中なのである。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews