金のリメイク、若者が主役に
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【4月16日 東方新報】金市場は11日、大きな節目を迎えた。国際金価格は史上初めて1オンスあたり3200ドル(約45万7760円)を突破し、中国国内の有名ブランドでも金製品が1グラムあたり1000元(約1万9571円)を超える水準に達した。これを受け、消費者の注目も一段と高まっている。
広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)にある中国最大級の宝飾品市場、華林珠宝玉器商圏では、年初から続く国際金価格の上昇が、まるで「バタフライ効果」のようにさまざまな影響をもたらしている。
このエリアにある複数の金装飾品店では、「金価格高騰」が背景にある「打金ブーム」が巻き起こっていた。特に90年代・2000年代生まれ(90後・00後)の若者たちが、足金(純度の高い金)のリメイク加工を積極的に依頼している姿が目立った。
最近では、金装飾品の価格が「毎日変わる」のが当たり前になっている。11日、北京市の老舗「菜百(Caibai Jewelly)」本店では、足金の表示価格が すでに1グラム935元(約1万8299円)に達していた。販売スタッフによると「10日は913元(約1万7908円)だったのが、11日には一気に24元(約469円)も上がった。清明節の時は900元(約1万7614円)を切っていたが、ここ数日は毎日10元(約195円)ずつ上がっている」という。
投資用の金塊を求める客の姿も多く、買取カウンターには現金化を希望する人が並んでいた。スタッフによれば、購入希望者と現金化希望者の両方がこのところ増えているという。
各ブランドの公式サイトを見ると、11日時点で周生生(ChowSangSang)の足金は1グラム991元、周大福(Chow Tai Fook)や周六福(Zhou Liu Fu)の足金999(純度99.9パーセント)は990元(約1万9375円)、周六福の足金999.9(純度99.99パーセント)は1010元(約1万9767円)まで上がっており、前日比で30元(約587円)前後の値上がりになっている。「最近は『1グラムあたり60元(約1174円)引き』といったキャンペーンもあるが、加工費を含めると結局1000元(約1万9571円)を超える」と六福珠宝(Lukfook Jewelly)のスタッフは話していた。
国際市場でも金価格は連日上昇しており、10日の終値は3175.25ドル(約45万4219円)、11日には一時3237.56ドル(約46万3132円)に達し、年初からの上昇率はすでに22パーセント近くに及ぶ。
広州市荔湾区の長寿西路には多くの宝飾店が並び、「中国の宝飾第一街」と呼ばれる華林珠宝玉器商圏を形成している。この地域には、足金の加工や販売、K金(合金)を使った装飾などを専門に扱う店舗が数多く集まっている。
その一角にある老舗の「朗豪珠宝」では、金価格がリアルタイムで表示される電子パネルが目を引く。店主の陳海棠(Chen Haitang)さんは、30年以上にわたりジュエリーデザインと加工を手がけてきたベテラン職人で、来店した客の応対や同業者との技術交流に追われていた。
「店を開ける午前9時にはまずその日の金価格を確認して、それを基準に一日の営業を始める」と陳さんは語る。今年に入って金価格の高騰が続いており、K金の価格も上がったことで、中〜高価格帯の宝石を使った装飾品の加工依頼は、1日あたり5〜6件から2〜3件に減ったという。「K金は玉石やダイヤモンド、宝石の装飾に使われるが、素材よりも加工費のほうが高くなることもある。そうなるとお客様の依頼も減ってしまう」と話す。
その一方で、古い金を新しいデザインに作り替える「打金」の注文が増えているという。「以前より毎日数件は増えている。加工費は基本的に1グラムあたり10元で、デザインや工法の複雑さによっては最大で40元(約782円)になる。軽量なアクセサリーなら一つあたりの料金になる」と陳さんは説明する。
30年以上業界にいる中で、近年は若者のあいだで再び足金の人気が高まっていると感じているという。「特に伝統技法による『古法足金』のリメイクを依頼する若者が増えていて、そうした客の6〜7割は『90後』や『00後』だ」と分析する。既製品よりも費用が抑えられ、職人の手作業による仕上げが多いことが、伝統技法や中国風デザイン、琺瑯(焼き物の一種)へのこだわりを持つ若者のニーズに合っているようだ。
若者が打金を好む理由は、単なる節約ではない。自分の好みに合わせて自由にデザインできる点や、感情的な価値を大切にする姿勢が背景にある。実際に、金のリメイクを依頼した「00後」の黄(Huang)さんは、「祖父母や親が残した金を現金化したくないという人が多い。デザインを変えても素材はそのまま残せるから、思い出を手放さずに新しい形にできる」と話していた。(c)東方新報/AFPBB News