【4月4日 Peopleʼs Daily】「春節(旧正月、Lunar New Year)がユネスコの無形文化遺産への登録に成功した! パリ・ノートルダム大聖堂の再公開の記念コンサートに向かう途中、スマホでこのニュースを知り、非常に嬉しく誇らしく感じた。

 春節は中国の祭日だが、世界の祭りでもある。現在、世界の約20か国が「旧暦の新年」を祝日と定めている。世界人口の約5分の1が、様々な方法で旧歴の新年を祝っている。

 2023年には春節が「国連の祝日」に指定されている。昨年「ユネスコ無形文化遺産代表リスト」に登録された春節は、より多くの国々へと広がり、より多くの人々に愛されるだろう。

 春節は中華民族が共有する文化の象徴だ。国内外を問わず、「年越し」という言葉だけで、我々の共有する記憶が呼び起こされ、我々の血の中にある文化の遺伝子が活性化される。

 私の春節の思い出は、半分が中国で半分が海外でのものだ。春節は春のメロディーであり、希望の旋律だ。

 子どもの頃、春節の序曲は旧暦12月23日に始まり、大晦日の年越しがクライマックスだった。このメロディーは、旧暦1月15日の元宵節のランタンフェスティバルまで続く。

 私の故郷・遼寧省(Liaoning)の瀋陽市(Shengyang)では、両親、父方や母方の祖父母、叔父、叔母、従兄弟たちがストーブを囲んで年越しをした。オンドル、雪だるま、爆竹、氷上で回す独楽(こま)遊び、酸菜(白菜の漬物)餃子、とても賑やかな思い出だ。大晦日には恒例の行事がある。大人も子どもも、この1年で得たものを思い出し、来るべき新年に向けての願い事をする。

 その後、私は留学し、春節は中秋節とともに、家族が再会する時であり、また異郷から故郷を思う時でもあった。最近では自分のルーツである中国で春節を過ごすことを、特に好むようになった。春節は家族団らんの時でもあり新たな出発の時でもある。春節を無事過ごすことが出来れば、それまでの1年は満足のいく結末を迎えたと感じられ、同時に未来に向かって進む活力が湧いてくる。

 春節は、世界が中国を認識する窓であり、中国人の文化的創造力を刺激するものだ。ある人は、中国の有名な管弦楽「春節序曲(Spring Festival Overture)」が流れ始めると、新年が近づき、祝いの雰囲気が漂うのを感じ始めると言う。

 流れる芸術である音楽は、我々の情感を表し、共感を呼び起こす人類共通の言語である。

 私はかつて、「23年・ハッピー・チャイニーズ・ニューイヤー」の文化大使を務めた。私の春節の記憶は、大小様々な規模の演出、異なる国や文化背景を持つ観客たちと「辞旧迎新(古きを辞し新しきを迎える)」の時を共に過ごした思い出で満ち溢れている。

 ワシントン、ブリュッセル、東京などで催された春節の公演では、私は「揺籃曲(ララバイ、Yaolanqu)」「雪花(スノーフレーク、Snowflakes)」「春舞(スプリングダンス、Spring Dance)」など、新年祝賀の雰囲気とは異なる曲目を演奏した。私の見方では、春節は多彩で活気に溢れるものゆえ、それを祝う音楽も多様であるべきだと思うからだ。

 美食もまた春節文化を世界に広める重要な方法だ。我々は海外での新年の公演を終えると、いつも現地の中華料理店を選んで、皆で新年を祝う食事会をする。食事会には中国人も外国人も参加し、皆それぞれの国で新年をどう迎えるのか、その話題で盛り上がる。

 新年を祝う方法は世界中で様々だ。春節について外国の友人が最も興味を示すのは、火鍋から水餃子、湯圓(餡入り団子スープ)からや年糕(もち)まで、多種多様な中国の新年の美食には、調和と共生、生命の循環という中国文化の本質が内包されている。

 我々の祖国・中国は広大で、南方から北方まで、東方から西方まで、新年を迎える儀式は地域や民族ごとに特色がある。そして、それぞれの伝統的な風習は、受け継がれていく中で新たなものに変化し、また新しい風習が加えられたりしている。

 私はかつて西安の古い城壁に登り、四川省(Sichuan)自貢(Zigong)地方で盛んになり新しい趣向が凝らされた飾りランタン「自貢彩灯」を観賞した。伝統的な文化遺産と中国西北地方の独特な風情とが融合した特色ある飾りランタンは、私に深い印象を残した。

 春節は新年の雰囲気を最も強く味わうことができる時期だ。家族が一堂に会する賑やかな喜び、食卓で若者が年長者に注ぐ一杯の酒、年長者から若者に渡す祝福の気持ちを込めた「紅包(お年玉、Hongbao)」、オンドルで温められた床に座って一緒に食べる茹でたての水餃子、そして現代中国に溶け込んでいる伝統文化の味わい深さ・・・。

 この新年の「味わい」には、爆竹の匂いと人びとの温かさに満ちている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews