【3月25日 Peopleʼs Daily】「春節(旧正月、Lunar New Year)―新年を祝う中国の伝統的な社会的慣習」が昨年12月4日、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産代表リストに登録された。中国人の人間的情感、祖国への思い、自然との調和、人と人との親睦といった価値観を体現する春節文化は、今後さらにグローバル化が進むだろう。

 山東省(Shandong)徳州市(Dezhou)の朱家坊村(Zhujiafang)に住む李守煥(Li Shouhuan)さんにとって、春節は間違いなく1年で最も待ち遠しい日だ。大晦日には、4世代50人以上が一堂に会する。息子は二胡や笛を奏で、ひ孫たちは歌い踊る。まさに家族自身の脚本と演出で自ら出演もする「春の祝宴」は、家中が笑いに包まれる。

 春節は、中国で最も重要な伝統的祝日だ。中国伝統の暦による正月1日が春節であり、新しい一年の始まりだ。春節前に人々は家を掃除し、春聯(しゅんれん、中国の伝統的な正月飾りで、家の入口や壁に貼る対句形式の縁起物)を貼り、大晦日には年越しの夕食を食べ、先祖を祀り、新年を迎えて年始の挨拶をする。「年の市」や民俗芸能、寺院の縁日、ランタン祭など・・・・古いものを捨て新しいものを迎え、吉祥と平安、団らんと調和を願う共通のテーマに沿った行事が繰り広げられる。中国の最も重要な伝統的祝日はこのように祝われる。この一連のプロセスを「年越しの行事」と呼んでいる。

 春節はまた、世界が中国を知る重要な窓口でもある。近年、春節の時期には、多くの国や地域が同時に「春節シーズン」を迎えるようになっている。フランスのエッフェル塔、日本の東京タワー、オーストラリアのシドニー・オペラハウスなどのランドマークが「赤」に彩られ、大小の企業や商家が灯篭を飾り、正月用品を販売し、中国の演劇、舞踊、音楽が広く注目を集め、ますます多くの国々の要人や国際機関のリーダーが、中国の人びとに対して新年の祝福の気持ちを送るようになった。

 中国社会科学院民族文学研究所の研究員で中国民俗学会の副秘書長の朱剛(Zhu Gang)氏は「春節の持つ豊かな含蓄や、祝日を祝う多様な風習など、春節文化は、世界中の様々な肌の色や言語の人びとに知られ、愛されるようになってきた。この100年で世界は急速に変化し、世界共通の問題に直面している。誰もまたどの国も自分の都合だけで独善的には生きられない。春節文化が内包している調和と共存の思想が人々の共感を呼んでいる」と話す。

「ハッピー春節」の活動は世界各地に足跡を残している。米国のニューヨークから日本の東京、スペインのマドリードからセルビアのベオグラードまで、様々な国籍、肌の色、文化背景を持つ人びとが、獅子舞や竜踊りに参加したり、新年を祝う絵柄の「年画」を描いたり、縁日を楽しむなどの活動を通して、中国の優れた伝統文化に浸り、平和な家庭と寛容な社会、人と自然の調和と共存といった価値観を深く理解し、追求している。

 毎年旧正月になると、ペルー在住の華僑の通商親睦組織「ペルー中国通恵総局」の獅子舞団がチャイナタウンで公演を行い、ペルー人が大勢詰めかけ、出演者と触れ合い、好運と幸福に浸っている。ペルー人の青年アルフレッドさんは獅子舞団の一員として、昨年10月に中国を訪れ、獅子舞の技芸についてもっと学び、中国文化の魅力を体験するためにやってきたと語っている。

 文化は人びとの心は結びつけることができる。芸術を通して心を通い合わせれば、世界の交流はもっと容易になる。国が異なれば、その国の人びとが置かれた状況や運命も大きく異なるが、より良い生活を求める彼らのたゆまぬ努力は共通しており、また、最も共感しやすいものである。

 2022年、中国の伝統的な製茶の技術とそれに関連する風習がユネスコ無形文化遺産代表リストに登録された。それ以来、ニュージーランドのオークランド市の「エプソム図書館」のローズ館長は、2年連続で「お茶と天下・優雅な集い」イベントに参加し「優雅な文化は素晴らしい。中国茶が大好きだ」と言っている。

 たてがみをなびかせる野生の馬、翼を広げる白鶴・・・など、ロンドンのトラファルガー広場では、地元の人たちがカンフー服を身にまとい、穏やかな音楽に合わせて優雅に動き、東方の魅力を堪能している。参加者の一人・ロバートさんは「太極拳は剛と柔を兼ね備えている。太極拳を習うことで、中国の古代文化への理解が深まり、自分自身についても新たな見方ができるようになった」と話す。

 近年、中国のそろばん、二十四節気(にじゅうしせっき)、チベット薬浴、太極拳、「王船送り」、伝統的な中国茶の製造技術とその関連風習そして春節が、相次いでユネスコ無形文化遺産代表リストに登録された。

 お茶の試飲、古琴の演奏、中国伝統演劇の鑑賞、伝統料理の試食など、リスト登録をきっかけに、ますます多くの中国の無形文化遺産が世界中に中国文化の象徴として、広く受け入れられ、認知され、評価され、文化交流の架け橋となり、世界の人びとの心を結びつけている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews