【3月19日 AFP】米宇宙企業ファイアフライ・エアロスペースの無人月着陸船が、月の地平線に太陽が沈む様子を高解像度で撮影した。かすみのような光が捉えられており、米航空宇宙局(NASA)は、1960年代に月面で初めて観測された同様の現象を解明する一助になると期待している。

同社の着陸船「ブルーゴースト」は今月2日、月の表側の北東に位置する盆地内の火山地形近くに着陸。16日、月の夜が訪れ電源が切れるまで、稼働していた。

同日に送られてきた画像の一つには、太陽が地平線のすぐ上で輝き、ハロ(光輪、日暈〈ひがさ〉)が緑色に染まる様子が捉えられている。

太陽の上には小さな点の金星が映っている。太陽の光で明るく照らされる地球は、太陽とほぼ同じ大きさに見える。別の画像には、西向きのカメラから、緑色の輝きを伴った沈む太陽が映し出されている。

NASA科学ミッション局のジョエル・カーンズ氏によると、日没時の光学現象は「地平線の輝き」や「ちりの浮遊」と呼ばれるもので、月のちりの粒子が太陽からの紫外線によって帯電し、月面から浮かび上がっている可能性があると考えられている。この現象は1960年代にNASAのサーベイヤー探査機が初めて観察。その後、アポロ計画で月面に降り立った宇宙飛行士によっても観察された。(c)AFP/Issam AHMED