【3月12日 AFP】欧州連合(EU)のカヤ・カラス外交安全保障上級代表(外相)は11日、国連安全保障理事会の対EU関係に関する会合で、国際法を「力の支配」に置き換える試みが世界中で増加しており、ロシアのウクライナ侵攻はその一例にすぎないとの見解を示した。

これに対しロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、EUは「独善的」で「反ロシア的」だと主張し、国連がEUと協議する必要があるのかと疑問を呈した。

カラス氏は、国連は発足から80年を迎えた今、「前例のない圧力」に直面していると主張。「国連憲章の露骨な違反を目にしている。法の支配を力の支配に置き換えようとする試みを目にしている」と述べた。

国際法と人権が「あらゆる状況で危険にさらされるか積極的に違反・侵害されている。パレスチナ自治区ガザ地区やスーダン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、ミャンマー、ハイチ、ウクライナなどだ」と指摘。国際法と人権の尊重を呼び掛けた。

米国がウクライナに対し、ロシアとの停戦合意を結ぶよう圧力を掛ける中、カラス氏は、ウクライナと、同国が求める「公正で永続的な平和」に対するEUの支持を再確認。

常任理事国である米国やロシアを含む各国の代表に向かって、「侵略国の要求に屈することはさらなる暴力につながると、欧州は自らの歴史で学んできた」と主張。

「唯一責任を負うべきロシアが軍を退き、ウクライナへの爆撃をやめれば、この戦争は即時に終わらせることができる。ロシアはこの戦争をいつでも終わらせることができるが、そうしないことを選んでいる」と続けた。

これに対しロシアのネベンジャ大使は、EUはかつてロシアと協力関係にあったが、今や「化石化した、攻撃的な反ロシア連合」だと反論。

「人権を著しく侵害しているのはEUの方だ。こんな連合体と対話する必要が国連にあるのかどうか、じっくり考えるよう呼び掛けたい」と続けた。

さらに、EUは「局地的な独裁」を支持し、それに反対する国々に「厳しい制裁」を課しているとも批判した。(c)AFP