【03月12日 KOREA WAVE】
3月2日、特別演奏会で、チョン・ミョンフン氏の指揮のもと、息の合った演奏を披露する日韓両国のオーケストラ=上野隆文撮影(c)KOREA WAVE
3月2日、特別演奏会で、チョン・ミョンフン氏の指揮のもと、息の合った演奏を披露する日韓両国のオーケストラ=上野隆文撮影(c)KOREA WAVE

日韓国交正常化60周年を機に、音楽を通じた両国の関わりを振り返るとともに、さらなる交流の可能性を探るトークセッション「日韓音楽文化の発展 クラシックからポップスまで」が3月1日、東京音楽大学池袋キャンパス(東京都豊島区)で開かれた。東京フィルハーモニー交響楽団とKBS交響楽団という両国を代表するオーケストラの団員も交え、来場者との意見交換が進められた。

トークセッションは東京(3月2日)とソウル(同月3日)で連続開催された「日韓国交正常化60周年記念 KBS交響楽団 & 東京フィルハーモニー交響楽団合同オーケストラ 特別演奏会」のプレイベントとして、演奏会に特別協賛するロッテホールディングスが企画した。

セッションには、同キャンパスでの公開リハーサルを終えたばかりの東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターの三浦章宏氏、KBS交響楽団アシスタントコンサートマスターのチェ・ビョンホ氏がそれぞれ登壇し、演奏会のプログラム「2台のピアノのための協奏曲」(モーツァルト)▽「交響曲第1番『巨人』」(マーラー)の2曲を、チョン・ミョンフン氏の指揮のもとでともに演奏した感想を述べた。

三浦氏は「ユーモアも交えながらも、厳しく濃密な綿密なリハーサルでした。本番では、日韓のオーケストラが一緒に奏でるからこその素晴らしさを感じてもらえるような演奏をしたい」と語った。チェ氏は「皆が一つになって表現し、それを観客に届けられることの幸せを、マエストロ(チョン氏)はいつも口にしています。その幸せを日本で分かち合えていることを実感しました」と話した。

セッションには東京音大出身で、現在KBS交響楽団でチューバ奏者として活躍している臼井紀人氏も加わり、「初めてプロのオーケストラ団員になったのが東京フィルだったので、嬉しくてなりません」と述べた。

会場に駆け付けた東京音大生やクラシックファンからは「公開リハーサルを聴いて、それぞれの音の違いを感じましたが、日韓には言語の違いもあります。臼井さんはその壁をどう乗り越えましたか」「国も環境も違うオーケストラが一緒に演奏するのは大変だと思いますが、実際どうでしたか」などの質問が相次いだ。

臼井氏は「韓国語はまだまだ勉強中ですが、言葉ができるからではなく、演奏家として採用されたので、音楽でコミュニケーションをしています」と回答した。三浦氏とチェ氏は「大変だとは感じませんでした。もちろん音に違いはありますが、互いに耳を傾けながら一緒に合わせていくのは、実に楽しいプロセスです」と答えていた。

日韓の音楽文化について語る北海道大学大学院のキム・ソンミン教授=友澤綾乃撮影(c)KOREA WAVE
日韓の音楽文化について語る北海道大学大学院のキム・ソンミン教授=友澤綾乃撮影(c)KOREA WAVE

セッションでは、日韓の音楽文化論を研究している北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院のキム・ソンミン教授が「日韓ポピュラー音楽の歩みと展望」と題して講演した。キム・ソンミン氏は、1965年の日韓国交正常化から現在までの両国の音楽文化の流れを振り返りつつ、アメリカをはじめとする日韓以外の国でJ-POP、K-POPが人気を得ていく過程を辿った。そのうえで「日本的なもの、韓国的なものとは何か」を自ら考えつつ、「グローカルな存在」として日韓を捉え直すことの重要性を強調した。

特別演奏会はセッション翌日、東京オペラシティ コンサートホール(東京都新宿区)で、翌々日にロッテコンサートホール(ソウル市)で、それぞれ開催された。

(c)KOREA WAVE/AFPBB News