【三里河中国経済観察】各地が布陣、映像作品の人気を取り込む争奪戦
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【3月12日 CNS】中国アニメ映画『哪吒之魔童鬧海(英題:Ne Zha2)』が世界映画興行収入ランキングのトップ10に入り、『唐探1900(英題:Detective Chinatown 1900)』が中国本土の歴代興行収入ランキング20位以内に入り、ドラマ『六姉妹(英題:Six Sisters)』は放送開始わずか7分で全国の視聴率ランキング1位になった。
このように、近年は多くの映画やドラマが大ヒットし、作品の人気が都市の注目度を高める現象が起きている。ひとつのドラマが話題になれば、それを撮影した地域や作品の舞台となった街が観光地として脚光を浴びるようになる。
たとえば、ドラマ『狂飙(英題:The Knockout)』が大ヒットしたことで、広東省(Guangdong)江門市(Jiangmen)では2023年のゴールデンウィーク期間中、1日あたり平均38万人以上の観光客が訪れ、観光による1日あたりの総収入は2.1億元(約42億7169万円)を超えた。また、2024年5月に放送されたドラマ『我的阿勒泰(英題:To the Wonder)』では、放送開始から20日で新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のアルタイ地区(Altay)を訪れた観光客が286万人を超え、観光収入は20.45億元(約415億9816万円)に達した。前年と比べて観光客数は42.05%、観光収入は77.98%の増加となった。
作品がヒットすれば街も注目される。このような巨大な注目をどれだけ受け止めて、映画やドラマの人気を地元経済の追い風に変えられるかが、各地の自治体にとっての試練となっている。
現在放送中のドラマ『六姉妹』は安徽省(Anhui)の淮南市(Huainan)が舞台であり、実際に淮南市内で撮影されている。淮南市では、ドラマの人気が観光客を呼び込むようにと、映像作品をテーマとした観光ルートの整備を進めている。市はこのドラマを対象に特別会議を開き、街の清掃から駐車場、飲食店のサービスに至るまで、細かい部分まで対応策を検討している。
もし話題となる作品が来ないなら、こちらから誘致しようとする動きもある。各地では有名なプロデューサーや監督と積極的に交渉し、撮影地として選んでもらえるよう働きかけている。
たとえば、三国志の英雄・曹操(Cao Cao)の故郷である安徽省亳州市(Bozhou)には、三国時代に関連する歴史遺跡が多く残っている。最近、市のトップである党委員会書記の杜延安(Du Yanan)氏と市長の秦鳳玉氏が、ドラマ『新三国(英題:Three Kingdoms)』を手がけた監督の高希希(Gao Xixi)氏らと会談し、「三国志を題材としたドラマ制作に投資を拡大して、歴史文化を活かした観光と文化産業を発展させたい」と伝えた。
このように、各地が次々とドラマや映画の舞台争奪戦に参戦しているのは、観光産業だけでなく地域全体の経済に波及効果をもたらすことを期待しているからだ。
山東省(Shandong)の西北部にある小都市・楽陵市(Laoling)も、春節(旧正月、Lunar New Year)の連休期間に映像作品がもたらす効果を実感した地域の一つである。
楽陵市は2022年の時点で、北京市の映像制作が地方に広がっていく流れをチャンスと捉え、「文化と観光で街を盛り上げる」戦略を打ち出し、楽陵映像城という撮影施設の建設を進めた。市全体で映像産業の発展に力を入れている。
今年話題になった時代劇ドラマ『国色芳華』と春節映画『唐探1900』の撮影は、その90%以上が楽陵映像城で行われている。
楽陵市政府の公式サイトによると、今年の春節休暇中、楽陵映像城には7日間で約15万人の観光客が訪れた。周辺の観光地や商業施設を含めると、訪問客は約70万人に達し、観光収入は9000万元(約18億3073万円)を超えたという。
2024年1月には、国務院弁公庁が『文化・観光消費を活性化させるための施策』を発表し、文化の力で観光を後押しし、「文化観光+他の産業」「他の産業+文化観光」のような産業融合を推進していくことを求めている。製品やサービスの提供力を高め、消費のスタイルや体験の場をより豊かにしていく方針だ。
ここ数年、各地では「映像作品と文化観光の融合」に本格的に取り組む動きが加速している。
たとえば吉林省(Jilin)では、映画産業の発展を支援する3年間の行動計画を策定しており、投資額1億元(約20億3414万円)規模の映画に対しては、最高2000万元(約4億683万円)の補助金が支給される制度を用意している。
重慶市(Chongqing)は、ネット配信ドラマの制作拠点を全国に向けて発信しようとしており、「ネットドラマを撮るなら重慶へ」という業界共通の認識を作るため、9つの施策を展開している。
浙江省杭州市余杭区では、「2億元(約40億6828万円)規模のショートドラマ発展基金」を設け、年間で最も優れたオリジナルのネット配信ショートドラマには最高500万元(約1億170万円)の賞金を授与する制度も整備された。
このように、「映像作品+文化観光」は観光客の関心を引きつけるだけでなく、観光産業全体の将来を照らす力になっている。映像作品がもたらす一時的な話題を、どうすれば持続的な人気につなげていけるのか——各地は今、その答えを探し続けている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News