雲南省盈江県:バードウオッチング産業でエコツーリズム・中国
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【3月14日 Peopleʼs Daily】毎年10月から5月、雨が徐々に収まり乾季が始まる頃、雲南省(Yunnan)の徳宏タイ族チンポー族自治州(Dehong Dai and Jingpo Autonomous Prefecture)の盈江県(Yingjiang)はバードウオッチングのシーズンを迎える。
県内の太平鎮(Taiping)石梯村(Shiti)の村民・徐小竜(Xu Xiaolong)さんは、自宅で経営する民宿を早々と整頓し始めた。毎日ほぼ満室になる観光ピーク期に備えるためだ。
森林被覆率が90パーセントを超える石梯村では、450種を超す鳥類が記録されており、中国全土の鳥類の3分の1以上がこの地で撮影されている。
例えば、コクジャク(灰孔雀雉)、モモアカヒメハヤブサ(紅腿小隼)、チャガシラハチクイ(栗頭蜂虎)など国の一級、二級の保護鳥類も多く見られる。
また、キタカササギサイチョウ(冠斑犀鳥)、シワコブサイチョウ(花冠皺盔犀鳥)、オオサイチョウ(双角犀鳥)のサイチョウ族の鳥は、いずれも石梯村に安定した繁殖地があり、この地は「中国サイチョウ谷」として知られている。
豊富な鳥類資源を頼りに、盈江県はバードウオッチング産業を積極的に発展させてきた。地元政府はバードウオッチング活動と生態系保護とを結びつけ、新たな発展の道を切り開いている。
石梯村には300人以上の村民が暮らしている。交通の便が悪く、観光客が簡単に行くことができず、村民たちも専門的な訓練を受けていなかったので、観光客への対応方法も分からなかった。
2015年、盈江県政府はバードウオッチング生態体験活動を実施し、バードウオッチング愛好家たちも「盈江県野鳥観察協会」を設立して、地元の鳥類保護とバードウオッチング資源の開発と利用を推進した。同時に、地元のインフラも改善され、民家を民宿に改造するための補助金も提供された。
2、3年の努力を経て、「中国サイチョウ谷」は徐々に一定の評価が得られるようになった。 現在、石梯村には30以上のバードウオッチングスポットがあり、50人余りのバードガイドがいる。彼らはみな100種以上の鳥を識別することができる。村はバードウオッチャーに対して宿泊、食事、ガイド、交通などのサービスを提供している。
石梯村の村民一人当たりの可処分所得は、当初2000元(約4万2340円)未満だったのが、23年には1万2800元(約27万976円)まで増加した。貧困から脱却する一方で、山林の有効な保護とバードウオッチャーと鳥との間の調和ある共存も実現した。
現在では、鳥を愛でることや森林保護、生態系保護は村の規則に明記され、村の子供たちまでも含め村民全員が鳥を愛でる方法を心得ている。
バードウオッチング産業を発展させるには、バードウオッチングスポットをどのように設置するかが難しい問題である。
バードウオッチングスポットは、まず鳥を引き寄せ、集まった鳥を水場に留まらせる環境を用意しなければならない。バードウオッチング用の小屋はそこから少し離れた場所に建て、ウオッチャーたちはそこに身を隠して鳥を観察し、写真を撮るのだ。
徐さんは「撮影者は遠方からやってくる。3日、5日と成果が無ければ、リピーターにはなってくれない」と言う。バードウオッチングスポットの設置は単純そうに見えるが、徐さんは試行錯誤を繰り返してきた。場所の選定、鳥の移動経路の監視、水場の用意や餌となる昆虫の繁殖など、全てに注意が必要だという。
徐さんは「人が近すぎると鳥は来ないし、鳥が遠すぎると人が来ない」「餌が少なすぎると鳥は留まらず、多すぎるとコストが掛かりすぎる上に、鳥の自然な習性に影響を与える恐れがある」と説明する。
「盈江県野鳥観察協会」は17年から、太平鎮で10回のトレーニングセッションを開催し、村民向けに野鳥観察についての系統的なレクチャーを行った。村民たちは、盈江県でよく見られる鳥の識別法や野鳥観察に関わるサービスを学んだ。徐さんはこのセッションで大変多くのことを学んだと感じている。
石梯村には2種類の野鳥観察スポットがある。一つは人工的に餌やりを行うスポットで、もう一つは餌やりを行わない「サイチョウ野生写真スポット」だ。
なぜ人工的な餌やりが必要なのか?
この問いに対し、雲南銅壁関(Tongbiguan)省級自然保護区管理保護局の金銀徳(Jin Yinde)副局長は「乾季で餌が不足する時期には、適度なタイミングで餌を与え、鳥たちの食の補充が必要だ」と言う。ただし、「鳥小屋」とは違い、野鳥観察スポットの鳥たちは制限なく自由に往来しているので、野生の鳥たちの生存を補助するための餌の補充と水源の維持を、どのように適切に管理するかが肝要だとしている。
盈江県は村民に対して、現地の状況に応じて個性化したバードウオッチングスポットの設置を指導した。その結果、オオサイチョウ、モモアカヒメハヤブサ、コクジャクなど鳥の種類によって区分けした55の特色あるバードウオッチングスポットが設置された。
バードウオッチングスポットの増加につれて、バードウオッチャーの数も増加した。豊かな鳥類資源と良好な生態環境が、一層多くの観光客を惹きつけている。
それでは、生態保護と経済開発のバランスをどのように保っているのか?バードウオッチングをどのように規制し、無秩序な競争を回避しているのか?
金氏は「保護区の核心地域のレッドラインは絶対に越えてはならない。石梯村は銅壁関自然保護区に隣接している。野鳥観察スポットの設置の際は、野鳥観察活動と生態系保護のバランスを調整しなければならない。決して踏み込んではいけない生態系のレッドラインを厳格に遵守し、野鳥観察スポットを合理的に配置し、それらの間隔を規準化し、野鳥観察スポットの分布密度を厳格に管理する必要がある」と強調する。
現在、石梯村では「各世帯が株主+集中管理+利益の統一分配」という経営方式の「盈江県太平鎮サイチョウ谷郷村観光専業合作社」を設立し、専門的な管理と統一的な手配を実現している。
さらに石梯村では「盈江県野鳥観察協会」を招き、村民に野鳥観察ポイントの管理強化を指導し、自然環境の許容能力に基づき1日の観光客の受け入れ人数を厳格に管理している。
また野鳥への餌やりは適度に適切なタイミングで行うよう指導し、野鳥への影響を最小限に抑えるよう努めている。
現在、盈江県では、人工巣穴、サイチョウの保育、多国間共同での野鳥保護など生態保護プロジェクトが継続的に推進され、バードウオッチングと野鳥保護が好循環を生み出している。盈江県にはますます多くの希少な野鳥が定住するようになっている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews