ウクライナのスターリンク接続、遮断せず マスク氏、ポーランド外相と激論後
このニュースをシェア
【3月10日 AFP】米ホワイトハウスの上級顧問を務める実業家のイーロン・マスク氏は9日、同氏が率いる宇宙開発企業スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」について、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相とSNS上で激論を交わした後、ウクライナがアクセスできる状態を維持すると明言した。
2月28日に米ホワイトハウスで行われたドナルド・トランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の首脳会談が物別れに終わった後、米国はウクライナへの軍事支援と情報共有を停止した。
これを受け、トランプ氏の盟友であるマスク氏が、ロシアと戦うウクライナの前線で広く通信に利用されているスターリンクへのアクセスを遮断するのではないかとの懸念が広がっていた。
だがマスク氏は9日、自身が保有するX(旧ツイッター)上で、マルコ・ルビオ国務長官も巻き込む形でポーランドのシコルスキ外相と衝突した後、それは事実ではないと語った。
「はっきり言っておくが、私がウクライナ政策にどれだけ反対していても、スターリンクの端末を停止することは決してない」と投稿。「単に、スターリンクがなければウクライナの通信網は崩壊するだろうと言っているだけだ。ロシアは他のすべての通信を妨害できるからだ! われわれは決してそのようなことをしないし、それを交渉材料として使うことも決してない」と続けた。
トランプ政権はゼレンスキー氏に対し、ウクライナの鉱物資源の採掘権の多くを米国に渡すよう圧力をかけるとともに、明確な安全の保証なしに、ロシアとの停戦に合意するよう求めている。
この姿勢を支持するマスク氏はこの日、ウクライナの部隊が使用するスターリンクを切断すれば、ウクライナの「全前線が崩壊するだろう」と述べた。
これに対し、ポーランドのシコルスキ外相はXへの投稿で「ウクライナ向けのスターリンクは、ポーランドのデジタル化省が年間約5000万ドル(約75億円)を負担している」と指摘。「侵略の被害者を脅すことの倫理的問題はさておき、スペースXが信頼できないプロバイダーだとなれば、他のプロバイダーを探さざるを得ない」と反発した。
対して、マスク氏はシコルスキ氏に「黙れ、小男。ポーランドが負担しているのはコストのごく一部だ。スターリンクの代わりは存在しない」と侮蔑的に応じた。(c)AFP