北朝鮮、羅先観光を突如中断…ロシア派兵情報の流入を警戒か
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【03月09日 KOREA WAVE】北朝鮮が5年ぶりに西側団体観光客向けに再開した羅先観光を、わずか3週間で突如中断し、その背景に関心が集まっている。
北朝鮮専門旅行会社「高麗ツアーズ」や「ヤング・パイオニア・ツアーズ」は5日、公式サイトを通じて、北朝鮮側のパートナーから羅先観光が一時中断されたとの通知を受けたことを明らかにした。
中断の理由や再開時期については不明で、旅行会社側も具体的な状況を確認している段階だ。
今回の羅先経済特区観光は、北朝鮮が新型コロナウイルスの影響で長期間国境を封鎖していた後、5年ぶりに西側団体観光客を受け入れたもので、注目を集めていた。
北朝鮮は2023年以降、ロシアからの団体観光客の受け入れを限定的に再開していたが、先月中旬に西側団体観光客にも羅先観光を許可した。しかし、1カ月も経たずに突然観光を中断した。
これについて、北朝鮮が西側観光客によって国内の実態が露呈し、外部情報が流入することを懸念した可能性が指摘されている。
最近、羅先を訪れた西側観光客が、メディアのインタビューやSNSを通じて旅行体験を公開し、否定的な評価が相次いだことに北朝鮮側が敏感に反応したという見方だ。
観光客の多くは、自由な行動が制限される厳格な管理体制や、老朽化した施設など、北朝鮮の劣悪な環境について批判的なコメントを残していた。
統一研究院のチョ・ハンボム特別研究員は次のように推測する。
「北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は元山や三池淵などの観光開発に自信を持っているが、羅先のような地方の状況は十分に把握していなかったのではないか。準備が整わないまま観光を急いで再開した結果、さまざまな問題が表面化し、それが外部に漏れるのを防ぐために観光を中断した可能性がある」
観光中断のタイミングから、北朝鮮がロシアへの派兵情報の流入を警戒した可能性も浮上している。
最近、北朝鮮が今年1~2月にかけて約1500人の兵士をロシア・クルスク地域に派遣し、さらに北朝鮮軍の捕虜2人がウクライナ軍に生け捕りになった事実が報じられた。
北朝鮮はこれまでロシア派兵を公式に認めていないが、西側観光客が増加すれば、こうした情報が国内に広まるリスクがある。
実際、最近の旅行記録によると、一部の観光客が北朝鮮ガイドに対し、北朝鮮軍のロシア派遣について質問する場面があったとされる。特に、北朝鮮軍捕虜が韓国への亡命を希望しているといった情報が内部に流入することを恐れた可能性がある。
ただ、外国人観光事業は2025年の北朝鮮の重要な経済戦略の一環であるため、観光中断が長期化する可能性は低い。
北朝鮮は現在、4月6日に開催される「第31回平壌国際マラソン」の参加者を募集しており、6月には約10年間開発を進めてきた江原道・葛麻(カルマ)海岸観光地区の開業が予定されている。
このため、北朝鮮は羅先の施設を改修し、観光客の行動をより厳しく管理する対策を講じたうえで、観光を再開する可能性が高いとみられている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News