科学者が全米各地でデモ トランプ政権の予算削減に抗議
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【3月8日 AFP】全米各地で7日、科学者や研究者らが抗議集会を開き、ドナルド・トランプ政権による複数機関の主要な人員削減と、救命につながる研究を抑圧する動きを非難した。
トランプ氏は2期目の政権発足以降、研究活動への予算削減と、世界保健機関(WHO)および気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明し、医療と気候問題の研究に取り組む連邦職員の大量解雇を進めている。
ニューヨーク、首都ワシントン、ボストン、シカゴ、ウィスコンシン州マディソンでは、研究者や医師、学生、エンジニア、議員らが通りで抗議デモを行い、トランプ政権の対応は科学への前代未聞の攻撃だとして怒りの声を上げた。
ワシントンでは1000人以上が抗議活動に参加。デモに加わっていたボストンのマサチューセッツ総合病院の研究者ジェシー・ハイトナーさんは、「これほど腹立たしいことはない」と主張。
特に許せないのは、ワクチン懐疑派として知られるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が厚生長官に任命されたことだとし、「米航空宇宙局(NASA)の長官に地球平面説を信じる人間を据えるようなものだ。あり得ない」と訴えた。
■頭脳流出の可能性も
多くの研究者はAFPに対し、助成金など今後の活動資金への不安を語った。
神経科学の博士課程で学んでいるレベッカ・グリソンさん(28)は、来週メリーランド州で博士論文の審査を控えているが、それ以降の進路はどうなるか分からないと話した。所属予定の研究所の資金が削減されたためだという。
サメの保護に取り組んでいる環境科学者、チェルシー・グレイさん(34)は、米海洋大気局(NOAA)で働くことを夢見ていた。だが、天気予報、気候分析、海洋保護などを担当するNOAAは、特に予算削減対象となっている。
そのため、グレイさんはアイルランドのパスポート(旅券)を取得する手続きを開始した。
「キャリアを目指す道が目の前で崩壊した」とグレイさん。
「米国民として米国にとどまり、国のために役立ちたい」「でも、その選択肢がなくなった場合、すべての可能性を確保しておかなければならない」と語った。(c)AFP