新エネルギー車の平均価格が1.8万元下落、電池協力がコスト削減の鍵に
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【3月6日 東方新報】競争が激化する中で、値下げはもはや常態化している。
全国乗用車市場情報聯席会(CPCA)のデータによると、2024年には227車種が値下げされた。新エネルギー車(NEV)の平均値下げ額は1.8万元(約36万7806円)で、値下げ率は9.2%に達した。一方、ガソリン車の平均値下げ額は1.3万元(約26万5638円)、値下げ率は6.8%となった。値下げの影響で自動車メーカーの利益も減少し、2024年の自動車業界の総利益は4623億元(約9兆4465億円)で、前年比8%減少した。利益率は4.3%で、工業企業全体の平均利益率6%と比べても低い水準となっている。
新エネルギー車の価格下落に伴い、自動車メーカーはコスト削減を迫られている。特に、電池はEVの主要部品であり、車両の総コストの40%以上を占める。そのため、電池コストの削減が競争力の強化につながる。最近、EV電池メーカー・寧徳時代新能源科技(CATL)とフォルクスワーゲン(Volkswagen)中国が覚書を締結し、新エネルギー車向けの主要部品を共同開発し、コスト競争力のある電池を生産することで、より経済的で優れた電動モビリティを提供すると発表した。
フォルクスワーゲンは、CATLと電池を共同開発する初の自動車メーカーではない。先週、フォード(Ford)もCATLとの戦略的提携を強化し、北米市場向けの次世代バッテリー技術を共同開発すると発表した。これは、高性能かつ長距離航続が可能なEVを求める北米市場のニーズに対応し、フォードの電動化戦略を加速させる狙いがある。また、今年1月には、CATLと上海汽車集団(SAIC)も提携し、共同で電池の開発を進めることを決定した。
2023年以降、CATLと自動車メーカーの提携はさらに深まり、現在では北京汽車集団(BAIC Group)、理想汽車(Li Auto)、上海蔚来汽車(NIO)、長安汽車(Changan Automobile)など、多くのメーカーと連携している。協力範囲は電池供給だけでなく、技術革新、海外市場展開、バッテリー交換(スワップ)システムの開発など、多岐にわたる。CATLは、中国国内の主要な電池供給企業の一つであり、中国自動車動力電池産業イノベーション連盟のデータによると、2024年の国内動力電池企業の総搭載量は約548ギガワット時であり、CATLと比亜迪汽車(BYD)がそれぞれ45.1%と24.7%の市場シェアを獲得し、両社で全体の約70%を占めている。BYDは自社生産の電池を使用しているため、その他の多くの自動車メーカーはCATLの電池を採用している。
五鉱証券のレポートによると、動力電池と新エネルギー車の市場構造の違いにより、自動車メーカーの電池メーカーに対する価格交渉力は低くなっている。さらに、動力電池は車両のコストに占める割合が大きいため、コスト削減の難易度も高い。一方で、自動車は選択的消費財であり、価格に敏感な市場であるため、新エネルギー車が成長期を経た後は価格競争が激化し、自動車メーカーの販売戦略と価格設定がより密接に関わるようになっている。そのため、極限までコストを削減できる体制が求められる。
業界関係者の間では、自動車メーカーと電池メーカーが共同で電池を開発することにより、コスト削減が可能となり、各メーカーの車両に最適化された電池を設計できるため、差別化された競争力を持つことができるとの見方が強まっている。一方で、動力電池市場は供給過剰になりつつあるが、高品質な生産能力は依然として不足している。そのため、メーカーは安定した供給を確保するために、CATLのような大手電池メーカーとの提携を進めており、これにより価格変動の影響を受けにくくするメリットもある。
また、一部の自動車メーカーは、電池の技術を自社で掌握するために、電池セルの開発に取り組む動きも見られる。しかし、米国に本社を置く大手コンサルタント会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)」のレポートによると、自動車メーカーが一地域で年間50万台以上の生産規模を確保するか、電池生産規模が年間15ギガワット時以上に達しなければ、自社で電池セルを生産するコストメリットは十分に得られないと指摘している。(c)東方新報/AFPBB News