「国家遺産」パイントの計量単位めぐって論争 英上院で採決
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【3月6日 AFP】英国の上院で5日、パブでビールを提供する際、今後もパイント(英国の単位では約0.57リットル)の計量単位を維持するための採決が行われた。英国は1965年にメートル法に移行したが、以降も計量単位のパイントが使用されてきた。
英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)をめぐる国民投票では、EUや世界の大半の国々で採用されているメートル法ではなく、重量のポンドや長さのフィート、液量のパイントなど、英国の帝国単位に戻すべきかどうかについても論争が起きた。
しかしブレグジット後、保守党政権はメートル法を継続。ただし、ビールや露天販売される果物や野菜などの特定の品目については現状の単位を維持する方針を下していた。
上院の審議に先立ち、野党・保守党は、与党・労働党がパブでのパイント単位によるビール販売を法案で禁止しようとしていると主張。
「『Fancy a pint?(1杯やろう)』という表現は英語で最も楽しい問い掛けの一つだ。ぜひ、このまま残そうではないか」と保守党のアンドリュー・シャープ議員は発言し、パイントの単位は「わが国の歴史と切り離せないもので、遺産の一部」だと訴えた。
最終的に政府は、自由民主党が提出した「保護策」の修正案を支持。ビール、サイダー、牛乳の販売に関して、パイントの使用を今後も維持する方針を示した。
労働党のソニー・レオン議員は、「政府としては、パイントの計量単位の使用法を改正する計画は一切ない」と主張。
「ようやく天気も上向いてきた。全国のパブが、何パイントもの爽快なビールやサイダーを楽しむ客でいっぱいになることを大いに期待している。われわれはパイントを守る」と強調した。(c)AFP