安楽死申請の娘、反対の父親と法廷闘争 スペイン
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【3月5日 AFP】スペインで安楽死を申請した下半身不随の女性(24)が、精神障害のため意思決定能力に問題があるとして反対する父親の意向が受理されることなく、希望通り安楽死が認められるよう裁判所に訴えた。スペインでは2021年に安楽死が合法化されたが、最終判断が裁判所に委ねられるのは今回が初めて。
司法関係者によると、女性(名前は非公表)は4日、バルセロナの裁判所で非公開の審問に臨み、改めて安楽死を求めた。
女性は22年、建物の5階から飛び降り、下半身不随になった。24年4月、安楽死を正式に申請した。
同年7月、カタルーニャ州の安楽死委員会は女性の申請を合法と判断し、受理した。法律では、健全な精神状態にありながら、「重篤で治癒不可能な疾病」または「慢性障害」に苦しんでいる人は安楽死を希望できると規定されている。
しかし、女性は8月2日に安楽死する予定だったが、父親が反安楽死のキリスト教系弁護士団体「アボガドス・クリスティアノス」の支援を受けて異議を申し立てたのを受け、直前で中止された。
父親は女性について、「自由で意識的な意思決定を下す能力に影響を及ぼし得る」精神障害を患っていると主張している。
同団体に属するホセマリア・フェルナンデス弁護士は4日の審問後、記者団に「(女性は)強迫性障害、希死念慮、境界性人格障害で苦しんでおり、意思決定が難しい状態にあると考えられる」と語った。
これに対し、女性の安楽死申請を支持した複数の専門家は審問で、女性には意思決定能力があり、安楽死法で設定されている基準を満たしていると証言した。
裁判所は、全当事者が書面で意見を提出した後、判断を下す予定だ。(c)AFP