【2月28日 東方新報】2024年末、山東省(Shandong)青島市(Qingdao)の人力資源社会保障局が市内初の「媽媽崗(ママポジション)」の求人リストを発表し、7つの企業から190のポジションが提供された。「ママポジション」は、12歳未満の子どもを養育する母親を対象にした柔軟な雇用枠で、政府が推奨し、企業が設置する雇用形態である。勤務時間や管理方式が比較的柔軟で、育児中の女性に適した職場環境を提供することを目的としている。

 2022年に広東省(Guangdong)中山市(Zhongshan)が全国初の「ママポジション」を導入してから2年以上が経過した。育児中の女性の就労支援を目指したこの革新的な政策の効果を検証するため、記者が現状を調査した。多くの母親にとって就業支援となっている一方で、キャリアの発展、労働権の保護、職位の名称など、いくつかの課題が残されている。専門家は、ポジションの多様化、労働権の保障強化、より中立的な名称への変更を提案している。

「月給4000元(約8万2203円)、週休2日、さらに夏季・冬季休暇もある」──広東省の張瑶(Zhang Yao)さんは「ママポジション」を利用して学校の食堂で働き始めた。「給与は高くないけど、残業がなく、時間の融通が利くから子どもの送迎に支障がない」と満足している。

 2022年、国家衛生健康委員会など17部門が「女性の再就職支援を強化する」政策を発表したのを受け、広東省、山東省、河北省(Hebei)、湖南省(Hunan)など各地で「ママポジション」が導入された。

 張瑶さんは、出産後に専業主婦となり、学歴も低いため職場復帰が困難だった。しかし、「ママポジション」によって安定した収入を得られるようになった。

 社会学者は、家事労働には価値があるものの無報酬である現実に着目し、「ママポジション」は出産後に無償労働を強いられる女性にとって有益な「段階的な就業支援」として機能し、収入を得て自己実現の場となっていると評価している。

 また、三人っ子政策が推進される中、専業主婦の再就職支援は、出産に対する不安を軽減し、出生率向上や潜在的な労働力の活用に貢献するという意義がある。

 一方で、就職活動をした小莉(Xiaoli)さんは「出産後、コールセンターや家政サービスの仕事しか選択肢がなかった。キャリアの格下げがあまりにひどい」と不満を漏らす。

「ママポジション」の求人は増加しているが、主に労働集約型の職種に集中しており、キャリアアップの機会が少なく、給与水準も低い。さらに、多くはパートタイムや臨時雇用のため、労働権の保護が不十分である。

 北京論法律師事務所の唐詩超(Tang Shichao)弁護士は「既婚女性を低スキル・低賃金の職に固定化することで、他の従業員と同等のキャリア発展の機会を妨げる可能性がある」と指摘する。

 また、一部の企業はパートタイムの従業員に対しては事故保険のみを提供し、正社員にのみ社会保険を提供している。法律専門家は「柔軟な働き方だからといって、労働権を削減してはならない。企業は法律に基づき、パートタイム労働者にも労災保険を提供する義務がある」と強調している。

 さらに、「ママポジション」という名称自体に対する批判もある。「育児は母親の責任という固定観念を強化し、育児中の女性にさらなるプレッシャーを与える可能性がある」という意見がある。

 2023年の調査によると、82.7%の専業主婦が再就職を希望しており、そのうち48.3%が柔軟な働き方を望んでいる。専門家は「ママポジション」は育児中の女性に新たな価値を提供していると評価しつつ、さらなる改善が必要と考えている。

 まず、職種の多様化が求められる。従来の家事サービスに限らず、インターネットやITサービスなどの新興産業にも対象を広げることで、選択肢の幅を広げる必要がある。

 労働権の保護については、企業の社会的責任を促進し、職場環境をより包容的にすること、そして法律や規制の整備を進め、就労条件の平等化を図ることが提案されている。

 さらに、「ママポジション」の名称をより中立的なものに変更することで、性別に関係なく誰もが利用しやすい雇用形態とすることが求められている。上海市が導入している「生育友好ポジション」など、より包括的なネーミングが推奨されている。

 専門家はまた、「柔軟なキャリアパス」を導入し、柔軟な働き方でもキャリアアップが可能な仕組みを構築することを提案している。これにより、育児期間中の女性が将来のキャリア発展を心配することなく、安心して柔軟に働けるようになる。

「ママポジション」は、育児と仕事の両立を支援する新たな試みとして期待されるが、その持続可能性と効果を高めるためには、今後の改善が必要である。(c)東方新報/AFPBB News