【3月7日 Peopleʼs Daily】2024年はチベット総合支援活動の開始から30周年に当たる年だ。総合支援の一環として保健衛生の分野では、過去30年間「輸血」すなわち医療衛生用の資材や資金の提供という直接的な支援と「造血」すなわち医療衛生の整備や指導、人材育成など現地の実力を高めるための支援の両方に重点を置いてきた。そしてそれらを継続的に強化し、支援の方法を革新してきた。

 医療従事者を次々と現地に派遣し、知識と経験の伝承に努め、現地の医療従事者と協力して保健衛生事業を推進した。その結果、チベットの保健衛生は飛躍的な発展を遂げ、医療を受けられることに対する現地の人びとの満足感と幸福感を絶えず高めてきた。

 北京大学第一病院の小児医療センターの主任医師・侯新琳(Hou Xinlin)さんは、16年にチベット医療支援人材チームに参加し、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)の人民病院に赴いた。彼女は「当時、この病院の小児科はチベットで最大規模でしたが、主に一般的な病気や頻繁に発生する病気に対応するだけで、いくつかの特に深刻な病気の治療能力は不足していました。チベットに着いてから、私たちはまず病気の治療が可能な範囲を広げ、チベットの全ての子どもが治療を受けられるようにしました」と話す。

 彼女は現地到着後すぐに、上唇が破れて出血が止まらない3歳の子どもを診察した。地元の医師たちにはその原因が分からなかった。彼女たちのチームは、すぐに血液疾患の一種・血友病だと診断できた。

「それはチベットで初めての血友病の診断でした。長年の医療支援の結果、人民病院は今では『中国希少疾患連盟・血友病診療センター』となり、チベットの血友病の子どもたちは、最も標準化され、効果的で体系的な質の高い医療サービスを長期的に受けることができるようになりました」、彼女は医療支援の成果をこのように説明した。

 過去30年間、何万人もの医療従事者が雪に覆われた高原を奔走し、優れた医療技術サービスを提供し、患者の苦痛を和らげ、大勢の人びとの健康を守ってきた。

 国家衛生委員会は、17の省や直轄市の衛生健康システムと連携し、チベットにおける医療活動支援の取り組みを効果的に行っている。また関係部門と協力し、各方面からの支援の資源を調整しつつ、「団体方式」の医療支援活動を共同で推進している。「三級医院(高度な医療設備と専門家を備えた最上位クラスの病院)による専門的な現地医療支援」や「1万人の医師による農村支援」などが行われている。

 中央政府と各地方自治体は支援活動の一環として12年以降、チベットの医療分野の建設と発展を支援するため、合計300億元(約6420億円)を超える投資を行っている。 現在チベットでは、機能が比較的充実し合理的な配置の、都市部と農村部の両方をカバーする医療・衛生サービスシステムが確立されている。

 また、このサービスシステムには、チベット医学の特色も十分に発揮されている。

 国家衛生委員会財務司の司長で農村振興弁公室主任の劉魁(Liu Kui)氏は「チベットではチベット医学の専門医院を独自に設立しただけでなく、総合病院に漢方・チベット医学科を設置し、医療、予防、健康管理、リハビリ、看護の各分野で民族医学の特色と優位性を十分に発揮し、地元の人びとの満足感がさらに高まっている」と話している。

 チベット自治区の医療・健康システムは、中央政府と地方政府の支援を受けながら、たゆまぬ努力を続け、その結果、妊産婦死亡率と乳児死亡率が大幅に減少した。また過去 10年余りで、チベットの平均寿命は6年近く延び、現地の各民族の健康レベルは著しく向上した。

 医療サービス能力の向上には人材が鍵となる。近年、チベットで全国12の省・市の182の病院が共同で「グループ方式」の医療人材支援を実施し、自治区級人民病院1か所、地方市級人民病院7か所、県級人民病院13か所を含むチベットの21の病院を支援している。

 その他、「チームがチームを指導する」「専門家が幹部人材を指導する」「師匠が弟子を指導する」など、様々な指導方法が開発され、チベットの地元民全員と全ライフサイクルのニーズを基本的に満たす医療サービス能力の確立を支援している。

 統計によると、15年以降、チベット自治区は、全国各地から4400件以上の新たな診断・治療プロジェクトと技術の支援を受けている。

 重点支援の開始以来、チベットの医療衛生状況は著しく変化した。医療衛生サービスシステムは30年前から絶えず改善され、医療衛生機関の数は1198から1821に、病床数は5600余りから2万2000床に、人口千人当たりの医師(助手)免許取得者数は1.9人から3.3人に増加した。

 医療サービス能力も次第に向上し、遠隔医療サービスが自治区内の全ての郷鎮衛生院をカバーするようになった。これにより、複雑で大きな頭蓋内動脈瘤や小児白血病などの400以上の重病は自治区の外に出ることなく、また急性心筋梗塞や脳血管障害などの2000以上の中程度の疾患は地方市の外に出ることなく、頭痛や発熱などの一般的な病気はそれぞれ現地で治療できるようになった。

 たゆまぬ努力で、チベット人の健康状態の指標は歴史上最高の水準に達し、衛生支出の総医療費に占める割合は10分の1以下に減少している。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News