【2月26日 東方新報】2025年に入り、中国の都市が注目を集めるロジックが大きく変化している。「杭州六小龍(杭州を拠点とする6つの先端テクノロジー企業の総称)」が世界のテクノロジー業界を震撼させ、映画『哪吒之魔童鬧海(英題:Ne Zha2)』が世界のアニメ映画興行収入ランキングでトップに立つなど、新しい生産力が浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)や四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)を国際舞台の中心に押し上げている。

 なぜ注目されるのが杭州や成都なのか、どのようにビジネス環境を改善し、革新的なエコシステムを構築できるのか。各地で反響が広がる中で、核心となる問題は「どうやって優秀な人材を確保し、定着させるか」である。次なる都市競争はすでに始まっており、チャンスは常に準備が整った都市に訪れる。都市が注目を集める裏には、持続可能で魅力的な人材エコシステムをいかに築けるかという本質的な競争が隠されている。

 人材は都市に集まり、都市は人材によって発展する。杭州では全国一位の人材純流入率がその成長を支え、成都では映画業界の従事者が10万人以上、関連学科の学生が22万人に達している。このように、優秀な人材を集められる都市が未来の勝者となる。近年、各都市による「人材争奪戦」が激化しており、その政策ツールは年々進化している。住居許可の条件は学歴から技能証明へ、補助対象も個人から家族単位へと広がり、都市の誠意がより強く表れている。

 深セン市(Shenzhen)では、若手起業家を支援する「鯤鵬(Kunpeng)プラン」を実施し、新卒者には就職活動時に最大15日間の無料宿泊を提供している。天津は外国の高度人材向けに、ビザや居住許可の即日発行サービスを導入し、国内外の優秀な人材を迅速に集めている。常州は若者向けの生活支援や「青春留常」補助金を拡充し、若手が住み続けたくなる都市を目指している。石家庄は人材誘致のために「15の施策」を導入し、グリーンカード、定住補助、家族同伴移住の支援を行い、3000の公務員枠を人材採用に特化して提供している。

 しかし、多くの都市で人材政策が「同質化」していることも事実だ。お金、住宅、住民票といった「伝統的な3点セット」だけでは、本当に人材を引き寄せ、定着させることは難しい。短期的なインセンティブに頼るのではなく、長期的な生活基盤を整え、真に「安心して働ける」環境を構築することが求められている。革新的な職場環境の創出、教育・医療資源の充実、エコな都市づくり、多様性と包容力のある文化の推進が重要なポイントとなる。人材が都市に「帰属感」と「自己実現」を感じられるようになれば、都市と人材の「双方向の成長」が可能になる。

 現在、深セン市、成都市、南京市、武漢市などの都市では、子どもの教育優先、起業支援、医療保障などの政策を通じて、人材の生活体験に重きを置いている。また、一部の都市では、ハイレベルな人材に対して「ワンストップサービス」を提供しており、移住から就職、生活サポートまで一貫してフォローする「フルサポート型」の取り組みを強化している。こうした「人間中心」のサービス理念は、人材を引き寄せる新たな要素として注目を集めている。

 人材争奪戦は長期戦であり、誰が本質的に人材のニーズを理解し、満たすことができるかが、未来の都市競争における鍵となる。単なる「条件の良さ」ではなく、人材が都市に根を下ろし、成長を共にできる環境を整えることが、次世代の「注目される都市」を生み出すことになる。(c)東方新報/AFPBB News