【2月22日 AFP】米テキサス州は21日、先月北西部で広がった麻疹(はしか)の感染者が90人に増加したとするデータを公表した。このうち大多数がワクチンを接種していなかった。感染者はさらに増加するとみられている。

感染が確認されたうち、77人は子どもで10人が成人。残り3人は詳細が明らかにされていない。このうち16人が入院している。

麻疹は非常に感染力が強く、肺炎や脳炎など、重篤な合併症を引き起こすこともある。

感染者のうちワクチン接種者はわずか5人で、大多数は未接種か、接種状況が不明となっている。

米国では、全国で子どものワクチン接種率が低下している。こうした傾向が加速した背景には、新型コロナウイルスの感染拡大時期にmRNAワクチンの接種促進をめぐる懸念と偽情報が広がり、保健機関に対する一般市民の信頼が低下したことが挙げられる。

今回、感染の「震源地」となったテキサス州中西部ゲインズ郡では、57人の感染が確認された。

テキサス州法では、宗教上の理由などからワクチン接種の免除を申請する権利が認められており、ゲインズ郡には、キリスト教の一派で、昔からワクチン接種に否定的な立場を取るメノナイトの信者が多い。

米国では折しも、予防接種政策に関して大きな権限を持つ厚生長官にロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が就任したばかり。

ケネディ氏はワクチン懐疑論者で、麻疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹の新3種混合(MMR)ワクチン接種によって自閉症の発症リスクが増加するとの誤った主張を声高に唱えている。この主張は科学的研究によって広く否定されている。(c)AFP