パキスタン人夫婦に13歳メイド殺害容疑 チョコ盗んだと、のし棒で拷問
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【2月14日 AFP】13歳のメイド(家事労働者)を殺害したとされるパキスタン人の夫婦が13日、出廷した。警察によると、夫婦はメイドがチョコレートを盗んだとして、のし棒(めん棒)で何度もたたいて拷問したとされる。
メイドのイクラさん(姓はなく名のみ)は12日、軍の駐屯地がある中部パンジャブ州ラワルピンディの病院に重体で搬送されたが、複数の傷が原因で死亡した。
ラワルピンディの警察関係者によると、ラシド・シャフィク容疑者と妻のサナ容疑者(姓はなく名のみ)は、殺人罪で訴追され、捜査のため4日間勾留されていた。その間に「サナ容疑者が、のし棒を使って拷問したことが発覚した」という。
警察関係者は「イクラさんは両脚と片方の足首、両腕、頭部を骨折していた。これらすべては、チョコレートがなくなったことで起きた」と説明した。
国際労働機関(ILO)の2022年の報告書によると、パキスタンでは家事労働における児童労働が依然として広く行われており、4世帯に1世帯が家事労働のために子どもを雇用している。雇われるのは特に10~14歳だという。
15歳未満を雇用するのは違法だが、貧しい親が幼い娘を働きに出すことが多く、依然として常態化している。
パンジャブ州の農村部の村に住むイクラさんの父親、サナ・ウラーさんはAFPに対し、イクラさんは容疑者夫妻の家で1年10か月働いていたと説明。月給8000ルピー(約4400円)はウラーさんが受け取っていたという。
ウラーさんは「あの獣たちは、人間ならば絶対にできない方法で娘を拷問した」「この残虐行為に対する正義を求める」と語った。
パキスタンの家事労働者はしばしば搾取や暴力、性的虐待を受けているが、家父長制と厳格な社会階級があるため、声を上げることができない。
かつてはイスラム法の下で、遺族が報復を求める代わりに「血の代償」という形で賠償金を受け取ることが認められており、親たちが加害者と法廷外で和解することも多かった。
メイド虐待に関しては注目度の高い事件がメディアで取り上げられているにもかかわらず、加害者が起訴されることはまれで、加害者はほとんど、あるいはまったく処罰を受けていない。
ラワルピンディでは2020年にも、別の夫婦がペットの鳥を逃がしたとして、7歳のメイドを殺害した容疑で逮捕された。(c)AFP