「声が出なくなるほど」 自動車販売員が最も忙しかった一日
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【2月14日 東方新報】2月9日の日曜日は、春節(旧正月、Lunar New Year)以降で最も忙しい一日だった。20〜30組の顧客に対応し、7組の試乗を手配し、一日中接客していたため、帰宅する頃には声がほとんど出なかった――北京市のテスラ(Tesla)姚家園センターの販売員・王安(Wang An、仮名)さんはこのように語った。
国家発展改革委員会の発表によると、春節期間(2025年1月28日~2月4日)に全国で行われた消費品の「買い替えキャンペーン」により、自動車、家電、デジタル製品の販売台数は860万台(セット)に達し、売上は310億元(約6545億円)を超えた。そのうち、自動車の売上は約66億元(約1394億円)にのぼる。
2月9日、北京の合生匯や長楹天街のショッピングモールを訪れると、新エネルギー車(EV)の販売店は大盛況だった。小鵬汽車(Xpeng)の北京龍湖長楹天街の販売員・張晩(Zhang Wan、仮名)は、「この日だけで北京エリアで35台の小鵬P7+の注文が入った」と語った。
また、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の小鵬汽車の販売員は、「春節休暇中の来店客数は前年の3倍以上、注文数は2倍に増えた」と話す。「ただし、仕事が再開した初八(旧暦8日目)以降は、来店数がやや落ち着いた」とも述べた。
小米汽車科技(Xiaomi Auto Technology)の北京合生匯体験店の販売員は、「春節期間中は毎日店が人で溢れ、週末前に2月の販売目標を達成した。試乗希望者が多く、2〜3組同時に試乗することもあった」と話す。
なぜ消費者の購買意欲が高まっているのか。王安さんによると、「今年は購入特典が多く、店独自の割引やローン金利補助も受けられる。さらにモデル3は一部即納車もあり、すぐに手に入る。これらの要因が相まって、迷っていた客が購入を決めるケースが増えた」と話す。
1月10日に発売された新型モデルYは、価格が26.35万〜30.35万元(約556万〜640万円)で、3月から納車が始まる予定。一方、モデル3は23.55万〜33.95万元(約497万〜717万円)で、2月初めに5年間無利息ローンや保険補助などの特典が発表された。
政府の買い替え支援策も影響を与えている。1月8日、国家発展改革委員会と財政部が「2025年大規模設備更新および消費品の買い替え促進政策」を発表し、1月17日には商務部など8部門が「2025年の自動車買い替え促進に関する通知」を公表。排ガス規制「国4」適合の旧車の買い替え補助を導入することを決定した。
中国自動車流通協会の副事務局長・郎学紅(Lang Xuehong)氏は、「政府や地方自治体、企業の対応が速く、多くの省が国の方針に沿った最大限の補助策を導入している。今後、自動車市場への影響はさらに大きくなる」と分析する。
また、1月下旬以降、青海省(Qinghai)や重慶市(Chongqing)などでは地方政府とメーカー、販売店、金融機関が連携し、さまざまな補助金制度を導入。重慶市では、総額33.7億元(約690億円)の補助金を用意している。
中国自動車流通協会は、「新エネルギー車の普及政策が追い風となり、2025年第1四半期の自動車市場は引き続き回復傾向を示す」と予測している。
また、中国自動車工業コンサルティング委員会の主任・安慶衡(An Qingheng)氏は、「消費者が『買い替え補助政策の恩恵を受けられる』と理解するようになったことで、購買意欲が高まった」と指摘する。
業界関係者は、「2025年の自動車市場は、春(5月)と秋(9月〜10月)の伝統的な販売ピークに向け、さらに売上が伸びると予想される」としており、今年の販売動向に注目が集まっている。(c)東方新報/AFPBB News