中国の少数民族の伝統文字「水書」、現代的な方法も取り入れ伝承を確実に
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【2⽉19⽇ Peopleʼs Daily】中国の貴州省(Guizhou)などに暮らす少数民族のスイ族(水族)は、水書と呼ばれる伝統文字を持つ。水書の起源は甲骨文字のような文字で、スイ族は天文、暦、気象、民俗、宗教などを大量に記録してきた。「水書にまつわる習慣」は2006年に、国家級無形文化遺産に登録された。
水書は数千年にわたって伝承されてきた。しかし多音字や多義字が多いので、使いこなすことは困難だ。水書の用法を学んだ人は水書先生と呼ばれ、スイ族の伝統にも精通している。そのため、水書先生は婚姻や葬儀などを含めて伝統活動を指導し、品格も備えなければならない。
70歳の楊勝昭(Yang Shengzhao)さんは、14歳から年配者に水書を教えてもらい、今では省級無形文化遺産の代表的な水書先生だ。楊さんによると、水書は口伝による儀式や祝辞についてのしきたりがあり、水書文化全体の7割が、口伝による部分だ。
スイ族にとって最も盛大な祝日はスイ族独自の暦による正月で、おおむね9月から11月ごろだ。その際の重要な行事は祖先祭りで、水書先生が祈祷文を読み上げる。楊さんによると、読み上げには一定の手順とリズムがあり、写本には書かれていないが、勝手に変えることはできない。ただ、現在はこのような口伝で伝えられてきた重要な部分が忘れられてしまう危機にある。
水書には「外部には伝えず、女性には伝えない」という習慣があった。しかし小学校教員だった楊さんは2015年に定年退職すると、水書の伝承と保護活動に身を投じた。楊さんは古い習慣を打破して水書の学習クラスを開設して、性別や職業、年齢を問わず学べるようにした。受講者は累計100人を超えた。
水書先生の中には、楊さんの取り組みに反対する人もいた。楊さんは「今では水書の後継者がいません。伝承の方式を刷新しなければ、間もなく失われてしまいます」と、懸命に説き伏せた。
2022年11月には「貴州省水書文献」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の「世界の記憶」のアジア太平洋地域版に選ばれた。楊さんはこの申告の準備で、水書に関連する口伝を録音し、水書を朗読し翻訳し、申告資料作りを後押しした。
楊さんは、「水書を救うためには、一定の資金支援が必要です。水書の発音を国際音声記号で示し、関連する口伝を中国語に訳し、映像と音声で記録するなどの作業です」と説明した。つまり水書を現代的な方法で記録することが今後も伝承していく上で重要で、そのためには資金が必要との考えだ。
水書を世界に発信することもスイ族の人々の大きな願いだ。中国代表団は2014年のユニコード協議会の会議で、「中国水書ユニコード提案」を提出した。楊さんは「申告が成功すれば、水書は世界での『身分証明書』を持つことになり、広く電子媒体で世界各地に伝えることができます。私たちの文化をさらに遠くに伝えることができます」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News