【2⽉13⽇ Peopleʼs Daily】中国・陝西省(Shaanxi)延安市(Yan'an)洛川県(Luochuan)では、あちこちで「りんごの姿」を見ることができる。街にはりんご販売店が点在している。道路ではりんごを満載したトラックが走っている。県の産業パークでは、りんごチップ、りんごジュース、ペクチンなどのリンゴ由来の製品が作られている。

 洛川県には現在、53万ムー(約353平方キロ)のりんご園があり、年産量は110万トン以上だ。農家の95%がりんごを栽培しており、人々の収入の95%がりんご産業由来だ。

 農業の発展には良い種子が欠かせない。洛川リンゴ遺伝資源園では、初冬期になっても実をつけている木がある。洛川県の張軍旗(Zhang Junqi)副県長は「落果実験です」と説明した。同園では4000種のリンゴの遺伝資源を収集し、600の優良品種が生み出された。新品種を絶えず選抜し育成してこそ、県を「りんごイノベーションのシリコンバレー」にできるという。

 かつては、「洛川では整形外科もりんごの関連業界だ」との言い方があった。というのは、リンゴの木は樹高が高くて管理が不便なため、栽培家がはしごから転落して負傷することが多かったからだ。しかしここ数年は、新たな品種への植え替えが進み、リンゴの樹高は3メートル前後になった。しかもきちんと整列して密植されているので、かつては20%未満だった各種作業の機械化率は70%以上になった。栽培の標準化と集約栽培によって果樹園の生産量と収益は倍増した。

 スマート果実選別ラインは、1秒で72枚のりんごの写真を撮り、自動で等級の仕分けをする。物流集配センターではりんごが詰められた段ボール箱2万箱が、伝送軌道を高速で走る。また、りんご栽培と畜産業が結合して、有機肥料加工会社10社が年間25万トンの有機肥料を生産する。洛川りんご現代産業パークには、比較的大規模な企業が52社、小企業および零細企業356社が入居し、りんごの取引、鮮度保持と冷蔵、スマート物流、精密加工、果物用物資の生産などの分野をカバーし、完全な産業生態系を形成している。一つの強みのある業種が出現すれば、産業チェーン全体をけん引できることの実例だ。

 洛川りんごは古い品種を淘汰(とうた)し、品質を厳格管理することで市場の評価を得た。収穫時期が異なる品種を組み合わせて出荷時期をずらし、1710か所の冷蔵倉庫で鮮度を保つことで出荷時期をさらに大きくずらす。洛川りんごは四季を通じて出荷することで、市場への影響力を強めた。

 洛川りんごは世界に向けて販売され、中国の有人宇宙飛行船にも提供された。年間生産額は140億元(約2970億円)以上だ。洛川県ではりんごの現代産業体系が構築された。洛川りんごは、人々を豊かにする果実、人々を幸せにする果実、県を発展させる果実、農村を振興させる果実として発展を続けている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News