農村の全面的な振興を後押しする「農創客」が奏功=浙江省
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【2⽉12⽇ Peopleʼs Daily】中国・浙江省(Zhejiang)では2015年に導入された農創客の制度が成果を出しつつある。「創客」とは創造的な事業に取り組む人を意味するネット用語だ。省政府は農村おこしを目的に農創客の認定と育成を進め、各種優遇や資金援助、研修などで支援している。
浙江省舟山市(Zhoushan)のある村では、バザールの開催中だった。バザールを始めたのは地元出身の夏子喩(Xia Ziyu)さんで、2022年に帰郷して起業した。バザールの目的は地元の特産農産物を売り込むことだ。夏さんの工夫の一つに、観音米と呼ばれる地元特産の米を使った煎り米茶がある。雲南省(Yunnan)に伝わる方法を参考にしたという。バザール会場には煎り米の香りが漂っていた。米を煎る土かまどや煎り米茶を淹れる土鍋、素朴な竹椅子には農村の風情が漂っている。米を煎る夏さんの周囲に多くの観光客が集まってきた。
夏さんのチームは21人で、特産農産品の商品化とブランド開発を行い、地元で特産品を作る人がネット通販のキャスターを務めることを支援している。夏さんは2023年、第2回「全国農村振興青年先鋒」の称号を獲得した。
紹興市(Shaoxing)上虞区(Shangyu)出身で上海(Shanghai)で起業した陳列豊(Chen Liefeng)さんは2022年に、上虞区内の太平山村に初めて足を運んだ。そして、都会からの観光客を受け入れる農村風の飲食店や民宿がないことに気付いた。陳さんは古い記録を調べてみて、この村では昔から生薬のオウセイが多く生産されていたことを知った。そこで、農創客になり村と協力契約を結んだ。村は遊休状態だった山林を提供することになった。山林ではオウセイを農薬や化学肥料を使わず天然の状態で育てている。村民はオウセイの種子を山林にまく。現在はオウセイ45万株余りが育っている。
オウセイは収獲までに3年以上がかかる。陳さんは、毎年数百ムー(500ムーは約0.3平方キロ)にオウセイの種をまき、高品質のオウセイを順番に収獲すれば、村は長期にわたり富を得られると考えた。そして、天然オウセイが評判になると村を訪れる観光客が増え、宿泊施設や飲食店も開業した。
寧波市(Ningbo)内の西江古村にある無形遺産館では、無形遺産である竹編みの伝承者で、1990年代生まれの葉商傑(Ye Shangjie)さんが糸のように細い竹を巧みに扱って、竹鈴をたちまち完成させた。葉さんは行政の支援が奏功していることを強調した。竹編み細工を学校で伝授したり、空港や高級ホテルに陳列場所を設けたりすることで注文が次々と来るようになったという。
浙江省は累計10万人の農創客により100万人の農民の増収を促進する方針だ。その鍵になるのは人材で、省は2024年末までに浙江農業英才を300人、農村産業振興の「渡り鳥の先頭役」を4600人、農創客8万1000人、現代化新農業人27万5000人を育成し、農村の全面振興のために活力を存分に発揮する農村人材の層の厚い陣容を構築した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News