【1月29日 AFP】米カリフォルニア州ロサンゼルスで大規模な被害を生んだ山火事が、同地で行われる2028年の五輪の準備に影を落とし、安全に大会が開催できるか疑問視する声が出ている。

これまでのところ、五輪が開催される予定の80以上の会場に直接的な影響は出ていないが、一部の専門家は、今回の山火事はロサンゼルスで世界最大のスポーツイベントを開催することの課題を浮き彫りにしていると指摘している。

仏パリのスケマ・ビジネススクールで、スポーツと地政経済学の教授を務めるサイモン・チャドウィック氏は英紙「i・ペーパー」に対し、「状況は明らかに深刻で、気候変動の見通しを考えると、現在の状況が再び起こる可能性があり、五輪期間中にも起こるかもしれないと考えざるを得ない」と述べ、ロサンゼルス五輪が保険の対象外になる可能性もあると指摘した。

山火事の火は、ゴルフ競技が行われるパシフィックパリセーズのリヴィエラCCに迫ったが、大多数の会場は高リスクの火災区域外に位置している。

過去のデータによると、2028年の五輪期間中に同様の災害が発生する可能性は非常に低い。

カリフォルニア州森林保護防火局が提供した統計によると、先週までにロサンゼルス郡で発生した火災は、カリフォルニア州の歴史上最も大きな被害を出した20件の火災のリストには含まれていない。

また、ロサンゼルス五輪が行われる7月は、今回の山火事の最大の要因と広く見なされている強力な季節風「サンタアナ風」が吹かない。ロサンゼルスは1932年と1984年の2度、五輪を成功裏に開催した実績もある。

ペンシルベニア州立大学のマーク・ダイアソン教授は、ロサンゼルスで五輪が開催できない場合は、2024年大会が行われたパリに会場を移すアイデアを提案している。

一部の保守派の評論家は、ロサンゼルスから五輪の開催権を剥奪すべきだとすぐさま主張し、右派活動家のシャルリー・カーク氏はX(旧ツイッター)で「ロサンゼルス五輪は中止すべきだ」と書き込んだ。

AFPは大会組織員会にコメントを求めたが、回答はなかった。(c)AFP/Rob Woollard