【1月29日 CNS】ビザ免除政策の拡大、地理的な近さ、豊富な雪質資源、そして高いコストパフォーマンスといった要因により、多くの日本人スキーヤーが中国での「氷雪ツーリズム」に注目している。旅行予約サイト「携程（Trip.com）」によると、2024年12月、中国の人気スキーリゾートを訪れる日本人旅行者の予約数は前年比150％増となった。特に吉林市（Jilin）、新疆ウイグル自治区（Xinjiang Uighur Autonomous Region）ウルムチ市（Urumqi）、黒龍江省（Heilongjiang）ハルビン市（Harbin）、長春市（Changchun）、張家口市（Zhangjiakou）などが、日本人にとって人気の高いスキー目的地となっている。

　中国は国土が広く、中緯度から高緯度にかけての冬季の寒冷な気候が、雄大な雪景色を作り出しており、「氷雪ツーリズム」に適した自然環境を提供している。日本人観光客の間では、従来の人気観光地である北京市や上海市に加え、中国の冬のリゾート地への旅行も新たな選択肢となっている。

　近年人気を集めている新疆ウイグル自治区のアルタイ地区（Altay）は、いわゆる「氷雪の黄金緯度帯」に位置し、降雪量が多く、雪質も非常に優れている。ここには、将軍山、可可托海、吉克普林、青格里狼山といった世界クラスのスキーリゾートが点在する。

　それぞれのスキー場には独自の魅力がある。将軍山スキーリゾートでは、夕暮れ時に空が鮮やかに染まり、美しい写真が撮れることから、多くの観光客がサンセットパーティーを楽しんでいる。可可托海スキー場は、アジアで最も長いスキーシーズンを誇り、毎年10月上旬から翌年5月初旬までスキーが楽しめる。吉克普林スキー場は、禾木景勝地内にあり、スキーだけでなく、カナスなどの冬景色も堪能できる。

　2022年に北京市で開催された冬季オリンピックの関連施設は、「アフター・オリンピック」時代に観光資源として活用されている。北京延慶オリンピックパーク内の中国国家高山スキーセンターでは、新たに開放されたスキーコースが登場した。その中でも「瑞雪大道」は、かつて冬季五輪の滑降競技のトレーニングコースとして使用されたもので、今シーズンから一般公開されている。このコースは全長約2200メートル、最大傾斜64％と、上級者向けのチャレンジングなコースとなっている。

　また、オリンピック選手村の宿泊施設も、一般の観光客向けに開放された。選手たちが実際に滞在した部屋では、各ベッドにリモコン操作可能な調整機能が備わっており、「宇宙船モード」に切り替えると、ベッドの頭部と足元がそれぞれ持ち上がり、足の血行を促進し、スキー後の疲労回復をサポートする仕組みになっている。

「氷雪ツーリズム」は北方だけのものではない。中国南西部に位置する四川省（Sichuan）アバ・チベット族チャン族自治州（Ngawa Tibetan and Qiang Autonomous Prefecture）も、雪景色や温泉、美しい自然環境を活かし、南方のウィンタースポーツの新たな拠点となっている。オンライン旅行サイト「去哪児（Qunar）」によると、四川アバのホテル予約件数は今シーズン急増している。

　この地域は標高が高く、独特の「山岳性小気候」により、長いスキーシーズンと良質な雪を誇る。地元ではすでに6つのスキー場が開業し、合計26本のコースを備え、総面積43万平方メートルを超える広大なスキーエリアを展開している。これは中国南方地域では最大規模のスキーリゾートだ。

　スキー以外にも、アバ州では壮大な山岳風景や水辺の絶景を楽しむことができる。例えば、「童話の世界」とも称される九寨溝（Jiuzhaigou）では、青い湖と氷瀑の美しいコントラストが見られる。黄龍（Huanglong）では、雪景色とカラフルな池の風景が織りなす幻想的な景観が広がる。

　さらに、四姑娘山（Siguniang Mountain）では、100本以上の氷瀑がそびえ立ち、世界中のアイスクライマーたちにとって憧れの地となっている。また、日本人科学者が衛星から発見したことで有名な達古氷河は、世界で最も標高が低く、面積が大きく、氷河の形成が最も新しい地域のひとつであり、雪景色と彩り豊かな森のコントラストが訪れる人びとを魅了している。

　近年、中国は冬季スポーツや氷雪観光産業の発展に力を入れている。中国国務院弁公室が発表した「氷雪スポーツの高品質な発展による氷雪経済の活性化に関する意見」では、2030年までに氷雪産業の主要セクターを高度に融合させ、氷雪消費を中国国内需要の成長エンジンにする方針を掲げている。政府の計画によると、氷雪経済の市場規模は2030年までに1.5兆元（約32兆1862億円）に達する見込みだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News