【1月28日 AFP】オーストラリアのエド・ヒュージック産業科学相は28日、中国の新興企業「DeepSeek(ディープシーク〈深度求索〉)」が開発した同名の生成AI(人工知能)についてプライバシー流出の懸念を表明し、ダウンロードする前に十分考慮するようユーザーに呼び掛けた。

ディープシークは先週のリリース以来、業界内を驚嘆させ、金融市場を揺るがしている。

欧米企業が投じている開発コストのごく一部で同等の性能を実現したと評価され、アプリダウンロードチャートのトップに急上昇。AI市場をけん引する米新興企業オープンAIの「ChatGPT」を押しのけた。

だが、ヒュージック産業科学相は公共放送ABCで「品質、消費者の嗜好(しこう)、データやプライバシー管理については、時間をかけて答えを出すべき多くの疑問が存在する」「私ならば非常に慎重になるだろう。この種の問題は、慎重な検討を要する」と述べ、ユーザーに注意を促した。

またヒュージック氏はユーザープライバシーやデータ管理に関し、中国企業は欧米の競合他社と異なることがあると指摘。

「中国企業は非常に優れた製品を開発するのが得意だ。そして中国市場は、データやプライバシーに関する彼らのアプローチに慣れている」と述べた上で、「それをプライバシーやデータ管理に関して異なる考えを持つ市場に輸出した瞬間、同じように受け入れられるかどうかが問題だ」とした。

「この点については率直かつ正直に言って、慎重になるべきだと思う」

オーストラリアは2018年、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)を国家安全保障上の懸念を理由に、国内の5G(第5世代移動通信システム)ネットワークから排除した。(c)AFP