【三里河中国経済観察】深セン、再び「外貿第一都市」に 民間企業が成長を牽引
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【1月27日 CNS】「これが2024年の8838万件の輸出入申告書の最後の1件です。これは深センから日本向けに出荷される翻訳イヤホンです」
最近、海関総署の担当者が記者会見で2024年最後の輸出入申告書をメディアに公開した。これにより、2024年の中国の外貿総額が締めくくられた。
記者会見で広東省(%Guangdong%)深セン市(Shenzhen%%)が名指しされたのは、偶然ではなく必然だ。2024年、深センは9年ぶりに中国本土の外貿都市ランキングで首位に返り咲き、輸入額と輸出額の両方で過去最高を記録した。
深セン海関のデータによると、2024年の深センの輸出入総額は4.5兆元(約96兆6564億円)に達し、初めて4兆元(約85億8148万円を突破した。前年比16.4%の増加を記録し、この増加率は全国平均を11.4ポイント、広東省全体を6.6ポイント上回った。
輸出は2.81兆元(約52.5兆円)で14.6%増加し、32年連続で全国1位を維持。輸入は1.69兆元(約31.5兆円)で19.6%の増加となった。
深センの外貿がこのような驚異的な成長を遂げたのは、産業の高度化、貿易方式の最適化、そして持続的な発展力の向上が成果を上げた結果だ。
商務部国際貿易経済合作研究院の研究員である白明(Bai Ming)氏は、深センの外貿経済の強みは、各時期における主要分野でのテクノロジー革新製品が牽引していると指摘している。家電、スマートフォン、自動車、ドローンなどが深センの「加速装置」として作用し、常にイノベーションのバトンを受け継いできた。
2024年、深センでは伝統的な「三つの代表的製品」(スマートフォン、パソコン、家庭用電化製品)の輸出額は合計3774.3億元(約8兆1069億円)で前年比6.8%増加。一方、リチウム電池、電気自動車(EV)、太陽光発電製品といった「新しい三つの代表的製品」は輸出額が996.9億元(約2兆1413億円)で11.5%増加した。
深センでは、民間企業が外貿成長の原動力として重要な役割を果たしており、その規模は初めて全体の7割を超えた。
2024年、深センの民間企業は輸出入実績を持つ企業が約4.7万社に達し、企業数の約90%を占めた。これらの企業による輸出入額は合計3.16兆元(約67兆8743億円)で、前年比24.2増加し、深セン市全体の輸出入総額の70.1%を占めている。この割合は前年から4.4ポイント上昇した。
深センは社会主義市場経済を先駆けて取り入れた経済特区であり、産業の強みを活かした都市だ。31種類の製造業大分類をすべて有し、そのうち23種類の製品が全国生産量の10%以上を占めている。
また、「1日でサプライチェーンを整え、3日で製品を完成させる」というサプライチェーンの優位性が深セン製造の生産力を支え、国際貿易において先手を取る要因となっている。
複雑に変化する国際貿易環境の中で、深センは外貿市場の構造を積極的に調整している。2024年、深セン市の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国、ラテンアメリカ、アフリカへの輸出はそれぞれ37.7%、26.3%、16.5%増加した。特にASEANは初めて深センの最大の貿易相手となった。
グローバル経済貿易の基盤が変化する中で、深センが「外貿第一都市」としての地位を維持するためには、さらなる努力が必要だ。
白明氏は「新たな挑戦に直面する中、テクノロジー革新を通じて発展を図り、内在的な成長力で外部の不確実性を克服することが重要だ」と述べている。また、リスク管理能力の強化も不可欠と指摘している。
年末の深セン塩田港では、巨大な貨物船が並び、トラックが行き交い、コンテナが整然と配置されていた。「世界を買い、世界に売る」という深センの国際貿易の役割はますます存在感を増している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News