【三里河中国経済観察】中国初の5兆元GDP都市が誕生、その名は上海
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【1月25日 CNS】中国で初めてGDPが5兆元(約107兆2685億円)を超える都市が誕生した。それが上海だ。
1月15日に発表された上海市の2025年政府活動報告によると、2024年の市全体の生産総額は前年比約5%増加し、都市経済の規模が5兆元を突破、新たな段階に進んだ。
5兆元とはどのような規模か?世界的に見ると、5兆元はアルゼンチン、ベルギー、スウェーデン、タイなどの国々のGDPを上回る規模である。国内では、これまでにGDPが5兆元を超えたのは広東省(Guangdong)、江蘇省(Jiangsu)、山東省(Shangdong)、浙江省(Zhejiang)、四川省(Sichuan)、河南省(Henan)、湖北省(Hubei)、福建省(Fujian)、湖南省(Hunan)の9省のみだった。そして上海自身を見れば、国土面積は全国のわずか0.06%に過ぎないが、GDPでは全国の3.7%を生み出している。1日あたりのGDP創出額は約130億元(約2788億9810万円)に達する。
振り返れば、上海の経済規模は絶え間なく拡大してきた。1949年のGDPはわずか20.28億元(約435億810万円)だったが、改革開放後の2006年には1兆元(約21兆4537億円)を突破。2011年には2兆元(約42兆9074億円)、2017年には3兆元(約64兆3611億円)、2021年には4兆元(約85億8148万円)、そして2024年には5兆元を超えた。その成長速度はますます加速している。
なぜ上海が初の5兆元都市となったのか?「魔都」とも呼ばれる上海は、その特異な「魔力」を持つ都市だ。この魔力は以下の3つの視点から理解できる。
上海といえば国際金融センターというイメージが強いが、それだけではない。上海は「五つのセンター」として、国際経済センター、金融センター、貿易センター、航運センター、科学技術イノベーションセンターの役割を担っている。
優れた地理的条件、強力な産業基盤、豊かな文化的背景を持つ上海は、中国最大の経済中心都市であり、世界都市としても注目されている。長江デルタ地域の中心都市として、人・物流・資金の流れが上海に集中している。
2024年、上海港のコンテナ取扱量は5150.6万TEU(20フィートコンテナ換算)に達し、15年連続で世界1位を記録。さらに、航空貨物取扱量は420.6万トン、旅客取扱量は1億2500万人を記録し、それぞれ世界2位と3位となった。また、2024年の金融市場取引総額は3650兆元(約7京8306兆円)に達し、前年比8.2%の成長を遂げている。
上海は外資系企業が多い都市としても知られる。現在、上海には1000社以上の多国籍企業の地域本部があり、全国で最も多い。2024年には新たに60の地域本部と30の外資系研究開発センターが認定され、累計でそれぞれ1016社と591拠点に達した。
さらに、浦東新区の開発や自由貿易試験区の設立などを通じ、上海は常に改革開放の最前線を歩んできた。2024年の貿易総額は4.27兆元(約91億6072万円)に達し、中国国際輸入博覧会(輸入博、CIIE)では800億ドル(約12兆4696億円)の成約が記録され、いずれも過去最高を更新している。
上海は全国の改革開放のリーダーであり、イノベーション分野でも先駆者である。科学技術の分野では、集積回路、バイオ医薬、人工知能などの先端技術が進展し、これら3つの主要産業の規模は1.8兆元(約38兆6460億円)に達した。これにより、高品質な経済成長が加速している。
また、ビジネス環境の改善やスタートアップ支援が進められ、多くの外資系企業や海外からの高度人材を引きつけている。2024年には技術契約の取引額が5200.7億元(約11兆1710億円)に達し、ハイテク企業の数は2.5万社を超えた。
深い歴史的背景、優れた地理条件、開放的な文化、そして高度な人材が集まる上海は、これらの要素をもとに中国初の5兆元都市として飛躍を遂げた。次にこの記録を破る都市として注目されるのは北京市であり、すでにGDPが4兆元を超える北京は、この目標に向けた準備を進めている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News