【1月23日 AFP】米実業家イーロン・マスク氏は22日、ドナルド・トランプ大統領が発表した5000億ドル(約78兆円)規模の人工知能(AI)インフラ整備投資について、約束された資金は実際には存在しないと批判し、プロジェクトの現実性に疑問を投げかけた。

世界一の大富豪であるマスク氏がトランプ氏を批判するのは異例。マスク氏はトランプ氏の選挙運動に2億7000万ドル(約420億円)を投じており、新政権でも重要な役割を担っている。

トランプ氏は21日、日本のソフトバンクおよび米国のクラウド大手オラクルとChatGPTを開発したオープンAIら3社が、巨大データセンターなどの人工知能(AI)インフラを整備するための大規模投資を行うと発表。この「スターゲート」と呼ばれるプロジェクトでは米国内のAIインフラに「少なくとも5000億ドル(約78兆円)が投資される」とした。

だが、マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、3社は「実際にはその資金を持っていない」と指摘。

また、別の投稿で「ソフトバンクが確保した金額は100億ドル(約1兆5600億円)を大きく下回る。確かな筋からの情報だ」とも述べている。

■「間違っている」

マスク氏の批判は、特にオープンAIを標的にしている可能性がある。マスク氏はオープンAIの設立に関わっているが、2018年に離脱している。

マスク氏は、オープンAIを相手取り繰り返し訴訟を起こしており、21日にホワイトハウスでの発表会見に同席したオープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)との間には深い確執がある。

アルトマン氏はマスク氏へのXでの返信で、「分かっていると思うが(あなたは)間違っている。既に着手している最初の現場に来てみるといい」と述べた。

また「これは米国にとって素晴らしい事業だ。米国にとって素晴らしいことが必ずしもあなたの企業にとって有利なものではないことは承知しているが、新しい役職に就いたのだから、(米国のことを)第一に考えてもらいたい」とも続けた。

オープンAIは、世界で最も評価額の高いスタートアップ企業の一つだが、高額な技術開発費のために損失を出している。