中国で大規模な民間航空機用タイヤの工場が稼働開始、「海外依存」に終止符
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【2⽉5⽇ Peopleʼs Daily】中国初の民間航空機用タイヤの大規模工場が先ごろ、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)桂林市(Guilin)で稼働を開始した。面積約5万平方メートルの最先端機器を80台以上備えるデジタル化工場で、全工程が自動化されており、進行状況をスマート監視できる。年産量は10万本で、中国の民間航空機用タイヤの需要の40%を満たすことができる。同工場を運営するのは中国中化集団(シノケム)傘下の桂林藍宇航空タイヤ発展(以下、藍宇航空タイヤ)だ。
航空機用タイヤは離着陸の安全に大きく影響し、かつ航空機にとって主要な消耗品の一つだ。世界にはタイヤ製造企業が1000社以上あるが、航空機用タイヤを作れるのは10社余りしかない。これまで、中国の民間航空機用タイヤは98%が輸入に依存してきた。
藍宇航空タイヤの秦斉富(Qin Qifu)上級エンジニアは、「航空機用タイヤは『タイヤ製造技術のピラミッドの頂上』とされます。1本のタイヤで支える重量は車両用タイヤをはるかに上回る40トン超です」「耐疲労性能、着陸回数、安全性などの面で高い要求があります。大規模生産を実現するには、品質の安定と生産能力を両立させねばなりません」と説明した。
藍宇航空タイヤの法定代表人である陸恒玉(Lu Hengyu)氏とそのチームは、長年にわたり民間航空機用タイヤを研究し、原材料や内部構造、生産プロセス、耐久性などの面で多くの成果を収めた。陸氏は「私どもは大学や研究機関との協力を絶えず強化し、重要な技術を共同研究して難関を突破してきました」「例えばアラミド繊維は民間航空機用タイヤの重要な原材料ですが、生産は長期にわたって海外に独占されてきました。私どもは北京化工大学(Beijing University of Chemical Technology)、中化高性能繊維材料などの大学や企業と共同研究することで、現在では輸入品を超える航空機用タイヤに使う高強度アラミド繊維を生産しています」と説明した。
2024年11月23日には、中国初の複雑な条件下での航空機タイヤ離着陸テストを行う施設が稼働を開始した。陸氏は、「この施設では建物内で民間航空機用タイヤの超高加速度での離陸、超高負荷かつ超高回転、異物による損傷などの複雑な条件での離着陸をシミュレートすることができ、中国のこの分野における空白が埋められました。航空機用タイヤの品質の信頼性と安全性をしっかりと保障します」と述べた。
秦氏は、「弊社が生産した(中国で開発された支線用ジェット旅客機の)C909用タイヤは1年余りの試用を経て、中国南方航空(China Southern Airlines)などが商用飛行に採用しました。累計で1万回以上の安全な離着陸を支えており、製品寿命は同類の輸入製品を上回っています」と述べた。 中国の民間航空輸送機は2023年末時点で、前年比105機増の4270機に達した。中国の航空機用タイヤ業界は技術革新と産業高度化の面で著しい進展を遂げており、多くの中国企業がすでに高性能の航空機用タイヤの開発に成功し、関連する認証を取得した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News