中国で人気のチェリー、チリとの協力を象徴
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【1月23日 CNS】日本産のサクランボは非常に高価である一方で、中国国内で消費されるチェリーの多くは米国、チリ、カナダから輸入されている。2025年の年明けには、チリ産のチェリーが引き続き中国に輸入され始めた。予測によると、2024/2025年の収穫期におけるチリ産サクランボの生産量は過去最高を記録し、世界輸出量は60万トンを超え、前年から50%増加する見込みだ。そのうち90%以上が中国市場に向けられるという。
チリ産チェリーは世界的に見れば生産量は際立って多くはないが、南半球の気候の影響で、年末から年始にかけて出荷のピークを迎える。この時期は元旦や春節(旧正月、Lunar New Year)と重なるため、中国で特に人気を集めている。
チリは中国から最も遠い国の一つでありながら、中国にとって2番目に大きな生鮮果実輸入元となっている。2005年、中国とチリは自由貿易協定を締結し、2015年には「中国・ラテンアメリカ運命共同体」の構築という理念の下、両国間の97パーセントの商品が無関税化された。これにはサクランボも含まれ、チリ産チェリーは自然環境の恩恵に加え、政策面での有利さも享受している。
2024年までの7年間で、チリ産チェリーの対中輸出量は年間平均約29パーセントの成長を遂げている。遠くチリから海を越えて運ばれてくるサクランボは、自然からの甘い贈り物であると同時に、中国とチリ、中国とラテンアメリカ諸国との経済協力が生み出した実りでもあり、両地域の連携を象徴している。
この連携は、双方に利益をもたらしている。互恵的な協力は中国の経済外交の基本方針である。チリでは、果物産業が国の基幹産業となっており、全国人口の8.7%が果物産業に依存して生活している。その中でもチェリー産業は約3分の1を占めている。チリ駐中国大使のマウリシオ・ウルタド(Mauricio Hurtado)氏は、「中国との緊密なパートナーシップがなければ、チリ経済の発展は大きな影響を受けただろう」と述べている。
さらに、この連携は多岐にわたる分野に及んでいる。チリは「一帯一路(Belt and Road)」構想の重要なパートナーであり、両国間の協力はチェリーに限らず、経済貿易、インフラ建設、鉱業、エネルギーなどの分野で深まり続けている。中国は13年連続でチリの最大の貿易相手国となっている。
チリとの関係は、中国とラテンアメリカ諸国の協力の象徴でもある。現在、中国はラテンアメリカ諸国にとって第2位の貿易相手国であり、2024年前三四半期(1~9月)の中国とラテンアメリカ諸国の貿易総額は4274億ドル(約66兆6781億円)に達し、前年比7.7%増加した。年間総額は5000億ドル(約77兆8800億円)を超えると予想されている。
製造業と輸出大国である中国は、世界的な消費市場としても機能している。多国間主義と自由貿易の強い支持者として、中国は世界との結びつきを重視している。2024年、中国は製造業分野での外資参入制限を全面的に撤廃し、初めて全国規模でのクロスボーダーサービス貿易に対するネガティブリスト制度を導入した。これにより、中国市場の開放度がさらに向上した。
中国はグローバリゼーションの恩恵を受けるだけでなく、その推進者でもある。機会や利益を世界と共有する姿勢を示しており、一粒のチェリーを通じても、グローバルな連携が相互利益をもたらす姿が見て取れる。(c)CNS/JCM/AFPBB News