中国北西部の寧夏の野菜が2300キロ離れたグレーターベイエリアで大人気
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【1⽉16⽇ Peopleʼs Daily】中国・寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)銀川市(Yinchuan)賀蘭県(Helan)の先進村にある農場では、収獲が終わったばかりの野菜のサイシンが、2300キロ離れた広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)に送られようとしていた。粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)内の3都市に販売拠点を持つ会社の寧夏全農農業科技の先進村の農場の責任者の陳定有(Chen Dingyou)氏は、「わずか36時間で粤港澳大湾区の市場に届きます」と説明した。
サイシンは広東料理でよく使われる野菜で、近年には寧夏でも栽培されるようになった。賀蘭県だけでも15か所のサイシンの栽培基地があり、栽培面積は2万4500ムー(約16.3平方キロ)に及ぶ。
寧夏でサイシンを栽培することになったのは、独特な気候条件による。例えば賀蘭県の平均標高は1000メートル以上で、夏は日照が多い。降雨は少ないが、黄河(Yellow River)の水によるかんがいはサイシンの養分補給にも適している。さらに、大湾区の企業がもたらした新式の栽培方式も奏功した。寧夏のサイシンは大湾区でブランド野菜になった。
陳氏の携帯電話には、サイシン畑の様子が映し出された。サイシンが20センチ間隔で整然と並んでいる。サイシンは水滴を帯びており、収穫作業員が素早く手を動かすと、みずみずしいサイシンが次々に切り取られていく。農場では自動かんがいシステムやドローンによる農薬散布などが導入されており、人件費が大幅に削減されている。
陳氏が携帯電話を軽くタップすると、数十の区画に分かれた2000ムー(約1.3平方キロ)のサイシン畑が示された。各区画の種まきや除草などの状況は一目瞭然だ。陳氏は「弊社はデジタル技術による畑管理モニタリングシステムを独自開発しました。携帯電話で栽培、施肥、散水などをすべて管理できます」と説明した。寧夏全農農業科技の物資調整責任者である呉暁寧(Wu Xiaoning)氏は、「耕地の耕運、種まき、ビニールマルチかけなどはすべて機械化されています。毎年5回の作付けが可能です」と説明した。通年では1ムー(約0.0006平方キロ)当たりの生産額が1万元(約21万円)に達するという。
収穫直後のサイシンを保管する冷蔵庫内はセ氏1.5度に維持されている。サイシンをこの冷蔵庫に入れると急速に休眠状態になり、鮮度が維持される。サイシンは6時間予冷され、梱包された上で冷蔵トラックに載せられて広州に向かう。広州到着後は広州、深セン(Shenzhen)、東莞(Dongguan)などの二次配送センターに運ばれる。一部は抜き取り検査を経て香港(Hongkong)に送られる。
寧夏全体では毎日約80台の冷蔵トラックが長江デルタ(Yangtze River Delta)や粤港澳大湾区などにサイシンを運んでいる。賀蘭県では収容容積計44万9500立方メートルの産地冷蔵鮮度保存倉庫が建設された。
2023年の賀蘭県の野菜栽培総面積は24万3800ムー(約162.5平方キロ)で、野菜の年産量は47万4600トンだった。生産額は14億元(約296億円)に達し、農家の雇用と収入増を大いに促進した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News