【1月2日 AFP】韓国の捜査当局が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拘束令状の執行に備える中、首都ソウルの大統領公邸に続く通りでは尹氏の支持者が陣取り、警察に怒声を浴びせ、根拠不明の陰謀論を繰り返している。

「非常戒厳」宣布をめぐり弾劾され職務停止中の尹氏は先月、韓国には「反国家勢力」と不正選挙がはびこっていると主張した。

尹氏については、憲法裁で弾劾が妥当かどうかの判断が行われる一方、禁錮刑や死刑を科される可能性もある「内乱罪」の容疑での捜査も進められている。

しかし、人気ユーチューバーらにあおられた少数右派は、逮捕を免れようとする尹氏を今なお支持。

そのうちの一人は1日、弾劾に抗議するプラカードを掲げた群衆の前で、「大統領による非常戒厳宣布は、今この国を破壊しようとしている反国家勢力を倒すためのものだった」と訴えた。

韓国極右の寵児(ちょうじ)で保守派の全光焄(チョン・グァンフン)牧師はこれに先立ち、拘束令状の「不当性に抵抗するため」集結するようユーチューブで支持者に呼び掛け、「拘束令状は完全に無効だ。国民が抵抗する権利は憲法に優先する」と主張した。

その結果、数百人が集結。中でも注目を集めたのは、160万人のフォロワーを持つユーチューブチャンネルを運営するシン・へシク氏だ。

シン氏は、尹氏を守るために「国民軍」を結成するよう呼び掛けるとともに、「国民が声を上げた」と明言し、多数の国民が大統領の弾劾に賛成しているというのは「左派がでっちあげたうそだ」と訴えた。

怒れる群衆と大統領公邸を隔てているのは警察の短い非常線だけで、支持者は尹氏の逮捕を阻止するために躍起になっているようだ。