中国の科学者 殺虫剤に対する害虫の耐性メカニズムを明らかに
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【12月30日 CGTN Japanese】中国農業科学院深セン農業ゲノム研究所の最新研究で、害虫の体内には特殊なタンパク質が存在し、農薬耐性と直接関連していることが分かりました。研究はこのタンパク質が昆虫体内で脂質を輸送し、農薬を体外へ排出する全過程を明らかにし、新型のグリーン農薬の開発、薬剤耐性問題の効果的な解決のために新しい考えを切り開きました。関連研究成果は北京時間24日、国際学術誌「Cell(細胞)」のオンライン版で発表されました。
害虫の農薬に対する耐性問題は目下ますます顕著になっており、世界の食糧供給の安全を脅かしています。効率が良く、生態にやさしい、低耐性のグリーン農薬の開発は農薬産業の発展の方向となっています。論文の責任著者である中国農業科学院深セン農業ゲノム研究所の楊青教授は、「グリーン農薬の開発の鍵は、人間や家畜に安全なグリーン農薬の分子標的を見つけることにある。害虫を狙って攻撃するように、害虫の致命的な標的を見つける必要がある」と話しました。
楊教授が率いる研究チームは「標的」を探す過程で、昆虫の体内には輸送機能を持つタンパク質があり、昆虫や他の節足動物にのみ存在し、人間や脊椎動物、植物には存在せず、理想的な農薬の分子標的として開発に適していることを発見しました。
同チームは小麦粉の害虫として世界的に有名なコクヌストモドキを実験対象とし、輸送タンパク質が昆虫体内で脂質を輸送し、農薬を体外へ排出する全過程を解析しました。楊教授は「この輸送タンパク質の機能を抑制できれば、害虫の表皮の防御バリアと解毒メカニズムを壊すことに相当する」と述べました。その上で、同チームは昆虫体内のこの輸送タンパク質を抑制できる低分子抑制剤を見つけました。楊教授によれば、次のステップはグリーン農薬の開発を加速させることだということです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News