世界最先端の海洋掘削船の夢想号、中国は先進国と共に「地球の神秘」を探る
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【1⽉5⽇ Peopleʼs Daily】中国が独自に設計・建造した初の大洋海洋掘削船の夢想号の正式運用が11月17日、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)を拠点として始まった。
夢想号の掘削システムの責任者である馮起贈(Feng Qizeng)氏によると、夢想号は水深1万1000メートルまでの海底で掘削を実施して海底岩盤のサンプルを取得し、船内で直接の観察や分析とテストを実施できる。夢想号の掘削システムはすでに国際的な最高水準に達している。
夢想号は「海上を移動する国家実験室」だ。船内には基礎地質、古地磁気、無機地球化学、有機地球化学、微生物、海洋科学、メタンハイドレート、地球物理、掘削技術の九つの実験室が設けられた。実験室の総面積は3000平方メートルを超え、各種精密実験機器が150台(セット)以上備えられている。
夢想号にはスマートブレインも搭載されている。先進的な総合情報化システムは2万か所以上でデータをリアルタイムで収集して分析できる。このことで作業の全過程のスマート監視、複数の実験の進行を調整して最適化したりデータを共有したりする実験のスマート協調、乗組員の健康のスマート管理、船と陸上の作業のスマート統合が実現した。
設計責任者である張海彬(Zhang Haibin)氏によると、夢想号の総トン数は3万3000トン、全長は179.8メートル、型幅は32.8メートル、排水量は4万2600トンで、航続距離は1万5000カイリだ。乗員数は180人で、補給なしで120日間連続して海上で作業することができる。喫水深度は9.2メートルで、世界の主要海域の橋梁(きょうりょう)下の通過と港湾停泊の条件を満たしている。また、船舶の安全性と安定性は重要な前提要素だ。夢想号は風速50メートルで波の高さが10メートルに達しても、安全性が保たれる。
夢想号は2020年5月に初歩的な設計が完了し、2021年11月に建造を開始し、2024年10月に総合海上試験が完了した。張氏は夢想号について、前例のない船であり、建造工程量は従来の海洋作業船の10倍余りで、科学調査船の数十倍と説明した。特に掘削時の水深1万1000メートルの巨大な圧力は、設備、水、電気、液、素材分野での大きな挑戦で、技術面の多くの難題を克服できた鍵の一つが、「モジュール化」の設計思想だったという。夢想号では「小トン数で多機能」が実現され、世界で初めて大洋科学掘削、深海石油・ガス探査、メタンハイドレート探査と試験採掘などの多機能が集約された画期的な1隻になった。また、2回の試験航海では主要性能指標がいずれも設計要求を上回った。
夢想号の投入に伴い、中国は米国、日本、欧州と同様に深海の掘削を実施できることになり、国際的な海洋掘削でより重要な役割を果たすことになる。中国は自国主導の国際大洋掘削計画を立ち上げている。将来は夢想号を運用することで、欧州や日本が主導する国際深海科学掘削計画(IODP)と協力する考えだ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News