新天地はゴルフ場、池に落ちた球拾うマレーシアの元海軍兵
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■一般の平均月収の3倍の月も
海軍時代よりも危険は少ないように見えるが、別の難しさがある。水温は低く、視界も悪いので、体力と精神力が試される。スマディさんは「ヤシのトゲやごみ、割れたカタツムリの殻などがたくさん落ちていて、暗いからよく踏んでしまう」「体がつるのも怖い。それに備えて、助手を雇って陸から見張ってもらっている」と明かす。
「給料日」は毎週土曜で、朝8時にコースの入口で、ボールを20球セットにして売る。普通のボールは1球0.7リンギット(約25円)と安いが、高級ブランドのボールには最高6リンギット(約210円)の値をつける。月の収入は多ければ8000リンギット(約28万円)と、マレーシアの平均月収の3倍近い稼ぎになる。
一般的に富裕層のために自然を切り開き、大量の水も必要とするゴルフには、環境破壊との批判も根強い。その中で、ボールというプラスチックとゴムの塊を環境から取り除く仕事は、持続可能性へのささやかな貢献になっている。
コースの常連だという男性は、「彼から何度か中古のボールを買ったことがある」「プラスチックは自然に分解されないから、リサイクルのボールを買うことは環境活動の一環になる」と話した。
スマディさん自身は、自分を環境活動家とは考えておらず、影響についても控えめな態度を見せるが、水の中のことを取り仕切る仕事には誇りを持っている。今後も「自分の家も同然」というゴルフコースで「できる限り潜り続けたい」と語った。(c)AFP/Isabelle LEONG