調査報告:上海が中国国内の長期賃貸住宅投資の注目拠点に
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【1月1日 東方新報】不動産サービス大手CBREが23日に発表した「2024年上海長期賃貸住宅市場レポート」によると、豊富な賃貸需要層と消費の高度化の可能性を背景に、上海市の長期賃貸住宅市場は投資家にとって注目の的となっている。
2024年の第3四半期までに、上海の長期賃貸住宅における大規模取引額は、中国全体の長期賃貸住宅取引総額の半分以上を占めた。特に、若年層の賃貸者による住居の質に対する高い要求(立地、交通の便、空間の品質など)は、投資判断の重要な基準となっている。
CBREは、現在の若者の賃貸ニーズや消費習慣を把握するため、上海の賃貸人口を対象にアンケート調査を実施した。その結果、上海の賃貸者の主な年齢層は25歳から35歳で、回答者全体の87%を占めていた。賃貸を決定する際に最も重視されるのは、「立地の利便性」「交通アクセス」「家賃の予算」の3つであることが分かった。また、部屋の向きや採光、独立したバルコニーやキッチンといった設備も賃貸者にとって重要なポイントとなっている。
従来型の一般住宅と比べ、市場に出回る集中型アパートや公共支援型賃貸住宅を選ぶ賃貸者は、内装デザインや共用エリアの設備、近隣の商業施設への要求が高く、現代の若者が居住環境に快適さと利便性を求める傾向が浮き彫りになった。
住宅タイプの選択については、全体の60%の若者が従来型の一般住宅を選んでおり、市場に出回る集中型アパートや公共支援型賃貸住宅を含む長期賃貸住宅が次いで31%を占めた。その他、9%の人が分散型アパートや社員寮を利用している。
注目すべき点として、上海の長期賃貸住宅市場における賃貸者の91%が25歳から35歳の間に集中しており、長期賃貸住宅市場が若者の賃貸ニーズと高く一致していることが示されている。また、居住形態としては一人暮らしやワンルーム・1LDKの賃貸物件が主流となっている。賃料については、6割の賃貸者が月額5000元(約10万7171円)以下の物件を選んでおり、39が家賃予算として収入の30%以上を支出可能だと回答している。さらに、84%の賃貸者が今後3年間で家賃予算を維持または増加させる意向を示している。
2024年末にCBREが実施した最新の投資家意向調査によると、上海の投資家は賃貸住宅への投資に対する関心を著しく高めており、前年度の43%から58%に上昇している。この割合は、中国全体の投資家が同分野に示す平均的な関心を上回っている。データによると、2024年第3四半期末までに、上海の長期賃貸住宅における大規模取引額は29.1億元(約623億7352万円)に達し、中国全体の長期賃貸住宅取引総額の半分以上を占めている。投資家層も多様化しており、政府系の賃貸住宅プラットフォームやブランド運営企業による積極的な投資に加え、企業や個人のバイヤーも債権譲渡や直接購入を通じて長期賃貸住宅市場に参入している。また、多くの投資家が「長期賃貸と短期賃貸を組み合わせる」運営モデルを模索しており、観光客やビジネス客を対象とした柔軟な賃貸契約を通じて賃料収入や営業利益の向上を図っている。
今後の見通しとして、上海の長期賃貸住宅市場はさらに多様な供給を迎えると予測されている。2024年から2028年の間に18.8万戸の物件が市場に投入される見込みで、2024年には7.0万戸に達し、短期的な供給ピークとなる。しかし、2025年以降は新規供給が減少し、市場の調整圧力が軽減されると予想されている。同時に、上海市が進める人材誘致の強化や居住政策の緩和に伴い、新規住民による賃貸需要は今後も増加すると見られている。このような供給と需要のバランス改善により、2025年または2026年には賃貸率や家賃が再び上昇基調に戻ると見込まれている。(c)東方新報/AFPBB News