雲南を走る「ゆっくり列車」の車内には文化の香りと人情の味
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【1⽉1⽇ Peopleʼs Daily】中国・河南省(Henan)から雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)にやって来た陳一鳴(Chen Yiming)さんは昆明駅のホームでこれから乗車するY752号列車を見て喜んだ。陳さんが、中国では珍しい2階建て列車に乗るのは初めてだったからだ。行き先は雲南省の麗江(Lijiang)だ。
乗車した陳さんは特色ある車内の装飾に魅了された。5色の房飾りや少数民族が織った布の掛け軸、ナシ族風の風鈴などがあり、まるで動く民族文化博物館に入ったようだ。車窓のカーテンには中国の各民族の団結を象徴するザクロの模様が刺しゅうされており、さらに国家の無形文化遺産であるペー族の染色の技も使われていた。
観光列車のY752の運行が始まって10年だ。全客車が2階建てで、車内には硬卧(2等寝台)、軟卧(1等寝台)、軟包(1等寝台コンパートメント)の等級があり、料金は123元(約2500円)から574元(約1万2000円)までだ。列車は毎晩昆明を出発し、翌日早朝に麗江に到着する。
陳さんが席に着くと、妻が興奮してやって来た。1号車で歌と踊りのショーがあると乗務員に教えてもらったという。陳さんとその他の多くの乗客が1号車に行くことにした。1号車はにぎやかだった。車両のデッキ部分に民族衣装に着替えるスペースがあり、乗客は民族衣装に着替えて写真を撮った。車掌長の馮南静(Feng Nanjing)さんは、乗客に多彩な民族文化を感じてもらうためのサービスで、少数民族の衣装を無料で試着してもらっていると説明した。
午後10時になると1号車の照明が明るくなった。「乗客の皆様、Y752号列車へようこそ。タイ族のダンスを披露します。タイ族の豊作の喜びを感じてください」とアナウンスがあると、民族衣装を身にまとった乗務員4人が登場し、ショーが始まった。乗客は次々に撮影をした。踊りが一段落すると、乗務員は乗客を招き入れて一緒に歌って踊った。
Y752は累計で7300回運行され、延べ1000万人以上を輸送した。高級感ある車両と独特なサービスが人気を集めて、ネットでも「有名列車」になった。乗務員の伏夕冉(Fu Xiran)さんは、「速い列車ではありませんが、温かさに満ちています」と話した。伏さんは、乗客が車内でプロポーズしたり、誕生日を迎えたりするなどの温かい瞬間に遭遇したことがあるという。
中国では鉄道関連の急発展に伴い、列車の速度はますます速くなっている。昆明から麗江までの最速列車の所要時間は3時間20分だ。しかし、Y752のような「ゆっくり列車」も相変わらず、山や川の風景の中で走っている。馮さんは「人々の仕事と生活のテンポは速くなりました。この2階建て列車を体験すれば、生活の速度を遅くすることができるでしょう」と言った。 Y752は翌日午前7時半に終点の麗江に到着した。ホームに出た陳さんと妻は列車の前で写真を撮った。陳さんは「私たちは、この列車が私たちに贈ってくれた素晴らしい時間を、ずっと覚えているでしょう」と言った。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News