イスラエルのシリア猛攻撃 「最悪の事態」を想定 専門家の見方
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■クルド人とドルーズ派
シリアの将来について楽観的な見方がある一方で、一部のイスラエルの専門家は、同国は分裂状態に陥るとの見方を示している。
元海軍将校で安全保障専門家のエヤル・ピンコ氏は、シリアは民族・宗教単位に分裂すると予想。「統一したシリアの存在はなくなるとみている」と語った。実際にそうなれば、イスラエルとしては、特定の民族集団との協力を選択することになるかもしれない。
イスラエル外相のギデオン・サール氏は9日、シリアのクルド人は「安定勢力」であり、国際社会は擁護する必要があると主張した。サール氏は以前、北東部のクルド人、南部のイスラム教ドルーズ派との協力に言及していた。
ピンコ氏は、「彼ら(クルド人やドルーズ派)がシリアを支配するとは思わないが、イスラエルは、和平を望む者との間で和平を試みるだろう」と語った。
一方、メケルバーグ氏は、ゴラン高原での軍事行動や特定の民族を優遇する動きは将来の対シリア関係を損なう誤った動きと主張。「そうした方向で進む公算が大きいが、それは間違いだ。分裂を助長すべきではなく、有益ではない」と話した。
■核交渉の行方は
シリアは数十年にわたってイランの親密な同盟国であり、イラン製の武器をヒズボラに供給する「陸橋」のような存在だった。
最近の紛争でイスラエル軍から打撃を受けたヒズボラは、シリアとのつながりを断たれることで、再武装が極めて困難になる可能性がある。
シトリノウィッツ氏は、「シリアは要だ。シリアがイランの影響下から脱すれば、『抵抗の枢軸』は事実上存在しなくなると言っても過言ではない」と述べた。
ピンコ氏も、「ヒズボラ、シリア、イラン、イラクの民兵(シーア派)から成る枢軸がもたらすリスクはるかに低くなる」と予測する。
イスラエルの戦略立案者にとっては、シリア弱体化の影響を受けたイランがどう反応するかが問題だ。
シトリノウィッツ氏は、イランは「(核)爆弾(の開発)を急ぐ」かもしれないと言う。
オレグ氏も、その点がイスラエルの戦略面での主要な懸念だとし、「核保有国イランに対応するとなると、それは全く異なるゲームとなる」と語った。
国際原子力機関(IAEA)は先週公表した報告書で、イランが兵器級に近い高濃縮ウランの大幅な生産拡大を計画していると分析している。
イランが核弾頭の製造を目指せば、イスラエルは軍事行動を選択する可能性がある。
ただ、一部の専門家は異なる見解を示している。それは、弱体化したイランが交渉に応じる可能性があるとの見方だ。
メケルバーグ氏はこう提案する。「明確なメッセージを送るべきだ。抵抗の枢軸は大幅に弱体化し、シリアを失った。交渉を始めようではないか、と」(c)AFP