江蘇省塩城ではグリーン電力と発電機器の「プラスのスパイラル」が定着中
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【12⽉19⽇ Peopleʼs Daily】中国・江蘇省(Jiangsu)塩城市(Yancheng)には長さ582キロの海岸線がある。海上の高度100メートルでの年平均風速は毎秒7.6メートルで、風力発電機を設置すればフル稼働時間数は年間3000時間を超える。風力発電には極めて適した場所だ。塩城市には2016年から、洋上風力発電所23か所が建設され、設備容量は江蘇省の46.9%、全国の14.9%を占める554万キロワット超に至った。
塩城市では洋上風力発電関係の研究開発、設備製造、資源開発、運営維持サービスなどを網羅する産業クラスターが形成された。同市の大豊経済開発区風力発電産業パークにある金風科技(Goldwind)の陸金紅(Lu Jinhong)実験センター副主任によると、まずはサプライヤーと共に試作機を作る。試作機は100項目以上の試験を経て、第三者の認証を得た上で量産する。全過程には約1年かかる。
金風科技の大豊基地は主に風力発電機のナセル(回転軸部分にある主要機器を収納する容器)とブレード(回転羽)の構造部品を組み立てている。当初は2メガワット発電機用を手がけていたが、今では11メガワットの風力発電ユニットに対応できる。年産能力は1200台を超え、うち30%は輸出用だ。寧海峰(Ning Haifeng)副社長によると、地元の産業クラスターの発展があったからこそ、同社も発展できた。
風力発電機1基には計1万個の部品が必要だ。うち重要部品の大部分は塩城市内で調達できる。また、全部品の95%は江蘇省内の企業から入手できる。塩城市内の洋上風力発電産業クラスターの生産能力は中国全体の約40%を占める。
塩城市浜海県(Binhai)の浜海港区にある陸上集中制御センターの大型スクリーンには、海上にそびえ立つ風力発電機75基の様子が示されている。画面上のいずれかの発電機を指定すると、風速や回転速度などが表示される。
国家電力投資集団(SPIC)傘下の江蘇海上風力発電の楊栄(Yang Rong)副社長は、「羽根車を回転させるには、まず風向を知らねばなりません。発電機のナセルにはヨーシステムと呼ばれる装置があり、1時間当たりの風向と風速を正確に予測することで方向の変更を支援します」と説明した。
楊副社長によると、羽根車は最大で毎分12回転する。遅いようにも思えるが、羽根の長さは約100メートルなので、先端部分は時速300キロに達する。羽根車の回転はギアボックスにより毎分1600回転に変換され、発電機により電気エネルギーを得る。塩城市の洋上発電は2023年に年間148億700万キロワット時の「グリーン電力」を発電し、うち121億6000万キロワット時は市内で利用し、残りは市外に送電した。もちろん、市内にある風力発電の産業クラスターに含まれる企業は、風力発電によって得られた電力を使っている。
風力によって得られた「グリーン電力」で風力発電機という「グリーン電力生産装置」を作り出す構図が定着しつつある。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News