【11月30日 AFP】国連は29日、パレスチナ自治区ガザ地区は飢餓の拡大や略奪の横行、避難民キャンプでのレイプの増加などで治安が崩壊し、無秩序状態に陥っていると警鐘を鳴らした。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)パレスチナ自治区事務所代表のアジット・スンハイ氏は、荒廃したガザを訪問した後、ヨルダンの首都アンマンからビデオリンク形式でスイス・ジュネーブで会見。パレスチナ人の苦しみは「実際に見なければ真に理解できない」として、「今回は特に飢餓の拡大に懸念を抱いた」と述べた。

「秩序と治安の崩壊により、略奪の横行や希少な資源をめぐる争いなどで状況が悪化している」「われわれが数か月前から警告していたガザの無秩序状態が実際に起きている」とし、こうした事態になるのは十分予見でき、回避できたはずだとの認識を示した。

また、何度も避難を余儀なくされた若い女性たちは、避難民キャンプのテントでは安全なスペースやプライバシーが全くないと訴えていたと報告。

「戦争の影響や治安と秩序の崩壊により、避難民キャンプではジェンダーに基づく暴力やレイプ、児童虐待、コミュニティー内の暴力が増加しているとの声もある」と付け加えた。

さらに、北部ガザ市の状況を「凄惨」と評し、大勢の避難民が「深刻な食糧不足と劣悪な衛生環境という非人道的状況」で暮らしていると指摘。

ガザ地区の大規模なごみ埋立地では、数十人の女性や子どもがごみをあさっているのを初めて見たと述べた。

ガザの破壊規模は「悪化の一途をたどっている」とし、「私が今回会った人々全員が口をそろえて、この状況を終わらせてほしい、もううんざりだと訴えていた」と続けた。(c)AFP