【11月28日 AFP】銃声、悲鳴、不気味な笑い声──北朝鮮から程近い韓国の江華島は毎晩、北朝鮮による身の毛もよだつような騒音攻撃に見舞われ、住民が苦しめられている。

以前の江華島は、虫の声を聞きながら眠りにつき、鳥のさえずりで目覚めるような暮らしだった。だが今では、夜になると、低予算ホラー映画のサウンドトラックを大音量で聞かされているような毎日だ。

7月以降、北朝鮮は南北軍事境界線沿いに設置したスピーカーから、ほぼ毎日のように大音量で放送を続けている。

黄海に面した漢江河口に位置する江華島の北端は、北朝鮮からわずか2キロ程度しか離れていない。

AFP取材班が現地を訪れた際、夜間は、戦場における断末魔の叫びのような声や銃声、爆発音が放送され、午後11時になると不気味な音楽が流されていた。

■拷問に等しいレベル

専門家は、北朝鮮が新たに流し始めたこうした音声は、拷問と見なされる基準をほぼ満たしていると指摘する。

「ほぼすべての政府が大音量による拷問や睡眠妨害という手法を用いたことがある」と英セントアンドルーズ大学で歴史を教えるロリー・コックス氏はAFPに説明した。

「(拷問としては)非常に一般的な手法で、物理的な傷を残さないため、否定しやすい」

専門家によると、夜間に60デシベル以上の騒音にさらされると睡眠障害を引き起こすリスクが増大するが、AFPの現地での測定では騒音レベルは最大80デシベルに達していた。

地元住民の一人(37)はAFPに、「ほとんどいつも頭痛薬を飲んでいる」と話し、騒音による慢性的な睡眠不足で、不安障害や目の痛み、顔面けいれん、日中の過度の眠気を引き起こしていると説明。

「子どもたちも眠れず、口内炎ができ、学校で居眠りしている」と話した。

一部の専門家は、こうした放送は、韓国のプロパガンダ放送を北朝鮮兵の耳に入れないようにするのが目的ではないかとの見方を示している。韓国のプロパガンダ放送には通常、K-POPの楽曲や国際ニュースなども含まれる。