【12⽉6⽇ Peopleʼs Daily】電気自動車(EV)の問題の一つが、エンジン車の給油に比べて充電に時間がかかることだ。中国・広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)は2023年9月から、世界一流の「超急速充電都市」づくりに取り組んでいる。

 EVの充電は普通充電、急速充電、超急速充電に分けられる。深セン市では超急速充電設備の定格出力が480キロワット以上で、最速で1秒間で1キロ走行に相当する充電が可能だ。市内の超急速充電ステーションは計670か所を超え、超急速充電ステーションと充電ノズル数はガソリンスタンドと給油ノズルの数よりも多い。

 深セン市内のEVなど新エネルギー自動車の保有台数は、自動車総保有台数全体の4分の1を占める116万2000台に達した。そして自動車販売台数の75%が新エネルギー車だ。

 欣旺達動力科技の電池製品ラインの責任者である何軒(He Xuan)氏は、「電池の充電速度を飛躍的に上げるには、まず化学システムの最適化、次に構造設計による革新、そして先進的な応用戦略が必要です」と説明した。同社が量産を始めた「フラッシュ充電バッテリー1.0」は10分間で充電率80%を実現する。同社はこれまでに超急速充電について小鵬汽車(Xpeng)、吉利汽車(GEELY)、理想汽車(Li Auto)などの自動車メーカーと提携を結んだ。

 業界関係者によると、現在出回っている車種の多くはまだ超急速充電には対応しておらず、市場の育成にはまだ時間がかかる。だが、EVの方向性は超急速充電対応車であり、2023年6月には40車種余りだった対応車種は、2024年5月には140車種を超えた。ある業界団体は、中国国内の高電圧急速充電に対応するEVは2026年末までに1300万台を超えると予測している。また、深センの超急速充電ステーション建設は、超急速充電に対応しない車種については自動識別により急速充電を行う方式で進められている。

 携帯電話のアプリ「i深セン」を使えば、スタンド探しから充電までのすべてができる。その背後には、深セン市が全市域を対象に構築した電力状況の統一デジタルツインがある。かつては充電スタンド、電力貯蔵施設、太陽光発電施設などが個別に存在していたが、今ではすべてを統一してのスマート精密管理が可能になった。

 深セン市は新エネルギーおよびエネルギー関連でデジタルを活用する企業が2万4000社ある。良好な産業チェーンが構築されたことで、各企業は緊密に連動するようになった。深セン市は現在、高速道路のサービスエリア、交通の要所、公園や商業施設などで、需給のマッチングや適度の先行設置、先端技術の採用を念頭に超急速充電ネットワークを構築している。今年末には超急速充電ステーション1000か所を建設し、「600メートル走れば充電場所」が実現する計画だ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News