【12⽉5⽇ Peopleʼs Daily】中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)桂林市(Guilin)陽朔県(Yangshuo)の月亮山のふもとで、丸みを帯びた外観の有人飛行船「AS700祥雲(以下、祥雲)」が軽やかに飛び立ち、周辺のいくつかの観光スポットの上空を巡ってから着陸した。デモンストレーション飛行は成功だった。

 祥雲の開発主体である中国航空工業集団(Aviation Industry Corporation of China)傘下の特殊飛行器研究所(Special Vehicle Research Institute)は先ごろ、広西桂林方舟通用航空に祥雲の引き渡しを記念する鍵を渡し、同社および中国康輝旅遊集団と12機の購入注文の契約を締結した。このことは、中国で有人飛行船の開発、生産、認証、引き渡しの全過程が完全に確立され、商業運航が間もなく始まることを意味する。

 祥雲は中国航空工業集団が耐空規則に合致するように独自に開発した、中国初の有人飛行船だ。今回引き渡された祥雲は8月に湖北省(Hubei)荊門市(Jingmen)から桂林市まで飛行し、中国で開発された有人飛行船の最長飛行距離記録を更新した。祥雲はさらに15日間にわたり累計延べ306人を乗せる体験飛行を行って安全性と信頼性を検証し、今後の改善と乗り心地向上のためのデータを蓄積した。

 祥雲の航続距離は700キロで、最大飛行時間は10時間だ。最大設計飛行時速は100キロ、最大高度は3100メートルで、操縦士1人を含めて最大で10人が搭乗できる。祥雲は「三つの初」を実現した。すなわち飛行船の主要素材の国産化を初めて実現して有人飛行船のサプライチェーンを完成させた。次に軽量・低コストの気嚢構造設計を初めて実現し、有人飛行船の市場競争力を強化した。さらに飛行船の推力ベクトルの同期サーボ制御の中核技術を初めて確立し、有人飛行船の離着陸の条件に対する適応力を向上させた。

 祥雲は今後まず、観光関連で使用される。祥雲は独自の推力ベクトル同期サーボ制御技術により、簡易に整備された場所で短距離あるいは垂直離着陸が可能であり、運営拠点の選択肢を増やした。乗客は広々としたキャビンの内装によって没入型の体験を堪能することができる。キャビンの両側に設置された特大の展望窓からは絶景を見下ろすことができる。

 特殊飛行器研究所の関係者の一人によると、祥雲の開発チームは観光分野での利用は典型的なデモンストレーションの一つと考えており、運航を通じて商業飛行の各プロセスを順を追って確立し、都市安全保障、航空調査、緊急救援など多くの分野に利用を拡大することを模索し、低空域を利用する新業態をさらに豊富にする考えだ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News