【11月16日 AFP】かつて世界中のメディアにもてはやされたX(旧ツイッター)だが、オーナーでドナルド・トランプ次期米大統領の盟友、イーロン・マスク氏の下で偽情報の拡散を許しているとして報道機関が離れ始めている。

スウェーデンの左派リベラル系日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(DN)は15日、「過酷で極端」な環境を理由に挙げ、Xでの記事の公開を中止すると発表した。

DNのペーテル・ボロダルスキ編集長は、「イーロン・マスク氏が買収して以来、このプラットフォームは同氏とドナルド・トランプ氏の政治的野心との一体化を強め、Xの環境はより過酷かつ極端なものになっている」と述べた。

Xでの記事公開を中止したのは主要メディアとしては3社目。

13日には英国の中道左派日刊紙ガーディアンも、今後はXの公式アカウントにコンテンツを投稿しないと表明。14日には、スペイン紙ラ・バングアルディアも、「偽情報網」にとどまるくらいなら定期購読者を失う方がましだとして、後に続いた。

マスク氏がツイッターを買収し、言論の自由の名の下にコンテンツモデレーション業務を大幅に縮小した2022年の時点で、ツイッターにとどまるべきかを悩むユーザーはいたが、今月の米大統領選でマスク氏の積極的な支援を受けたトランプ氏が勝利して以来、この疑問が再燃している。

■不穏なコンテンツ

米バトラー大学のメディア操作の専門家、スティーブン・バーナード氏は、「さらに多くのメディアがXを離れると予想している」との見解を示した。

「何社がそうするかは、おそらくXとマスク氏、そしてトランプ政権がメディアとジャーナリズムに関してどのような行動を取るかによるだろう」と指摘した。

世界一の大富豪でもあるマスク氏は、次期政権で連邦政府の無駄を削減する任務を負う新組織「政府効率化省(DOGE)」のトップに指名されている。

ガーディアン紙はXで1100万人近いフォロワーを有しているが、「今やXにとどまるメリットをデメリットが上回っている」と説明。

Xではしばしば「不穏なコンテンツ」が助長・発見されていると指摘し、具体例として「極右陰謀論や人種差別」を挙げた。

メディアとXのこうした対立は、2008〜2009年にツイッターによって引き起こされた熱狂とは著しく対照的だ。

メディアは当時、専門家や政策決定者はもちろん、読者・視聴者との直接的な接触を確立するためにツイッターで発信する必要性を確信。

その結果、メディアは「読者・視聴者の増加、ブランド構築、新たな報道手法の開発、コミュニティー形成、市民参加の強化」を認識したとバーナード氏は指摘する。

同時に、ツイッターの影響力もメディアによって高められた。